眼瞼下垂になると、二重幅が変わってきます。二重幅が理由で「もしかしたら眼瞼下垂なのでは?」と気づいたかたも多いでしょう。
本記事では、眼瞼下垂で起こる二重幅の変化を解説します。手術をすると二重幅がどうなるかや、保険適用の有無についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
眼瞼下垂になると二重の幅はどうなる?

眼瞼下垂の症状のひとつが、二重幅の変化です。
- 二重の人
- 一重の人
- 奥二重の人
パターン別にどのような変化があるのかを見てみましょう。
二重の人
もともと二重の人は、眼瞼下垂になると前よりも二重幅が広くなります。なぜなら、まぶたをぱっちりと上げにくくなる結果、二重が間延びしたようにみえるためです。
症状が進むと無意識に額を動かして目を開くようになるため、さらに二重幅が広くなります。後期の眼瞼下垂では、三重・四重になる場合もあるでしょう。
ただし、加齢とともにまぶたの皮膚もたるみを生じます。そのたるみが強いと二重の上に皮膚がかぶさって、二重の幅が狭くなったようにみえることもあります。
一重の人
もともと一重の人は、眼瞼下垂になると二重へと変化します。前から二重だった人よりも変化が大きいことから、眼瞼下垂に気づきやすいでしょう。
眼瞼下垂自体で二重になるわけではなく、加齢によるまぶたのたるみによって皮膚が被さり、二重のようにみえることがあります。
奥二重の人
奥二重の人も、眼瞼下垂になるとより二重がくっきり見えるようになることがあります。また、進行すると幅が広くなることも同じです。
ただし他の場合と同様、まぶたのたるみが強い場合は奥二重のままか、一重のようにみえてくることもあります。
そもそも眼瞼下垂とは?

眼瞼下垂とは、まぶたが下がって開きにくくなる病気です。症状に気づいていても、日常生活に支障がないからと放置しているかたもいらっしゃるでしょう。
眼瞼下垂のおもな原因は「加齢」であるため、10~20代にはほとんど見られません。早い人では、40~50代で眼瞼下垂の症状が出始めます。70代を過ぎると、約3割のかたが眼瞼下垂の症状があるともいわれます。
代表的な症状や治療方法も確認してみましょう。
眼瞼下垂の代表的な症状
眼瞼下垂は「まぶたが下がること」だけが症状ではありません。症状が進むと、さまざまな症状が出るようになります。
大きくわけると、眼瞼下垂のステージは「初期・中期・後期」の3つです。ステージ別に、どのような症状があるか紹介します。
初期の眼瞼下垂
眼瞼下垂になっても、初期のうちは自覚できるような症状がほとんどありません。特に気づかず過ごしているかたも大勢いらっしゃいます。
初期の眼瞼下垂で出るのは、以下のような変化です。
- まぶたが下がる
- 二重の幅が広がる
変化が大きいため、一重の人・奥二重の人は、早い段階で気づくことがあるでしょう。
中期の眼瞼下垂
中期の眼瞼下垂になると、徐々に自分でも気づくような症状が出ます。
- まぶたが黒目に被さる
- 視野が狭くなる
- まぶたが重く開けづらくなる
- 額にシワが寄る
- 眉毛の位置が上がる
症状が進むとまぶたが黒目に被さって視野が狭くなるため、上のほうが見づらくなってきます。まぶたが重い・開けづらいといった症状にも気づくでしょう。
額の筋肉を使ってまぶたを上げようとするため、額にシワが寄り、眉毛の位置が上がります。
後期の眼瞼下垂
後期を迎えると、中期に出ていた症状がさらに進みます。まぶたが黒目の中心に被さるため、視野はますます狭くなるでしょう。
- 中期よりさらに額にシワが寄り眉毛が上がる
- 二重の幅がさらに広くなる
- まぶたが黒目の中心まで被さる
- 頭痛や肩凝りなどの症状が出る
- 顎を突き出すような姿勢になる
頭痛や肩凝りなどの症状が出るのは、額の筋肉である前頭筋に大きな負担がかかるためです。
また、よく見ようとして、無意識のうちに顎を突き出すような姿勢になっていきます。
眼瞼下垂の治療方法
ほかに効果的な方法がないため、治療を希望する場合は手術を受けなくてはなりません。
広く行われているのが、「挙筋前転術」という手術です。二重ができている線で皮膚を切開し、挙筋腱膜を瞼板に縫合固定します。
挙筋前転術は基本的に日帰りが可能で、原則入院する必要はありません。
実際にどのような手術を行うかは、眼瞼下垂の進行状況次第です。早い段階で治療を受けると、身体への負担を抑えられるでしょう。そのため、症状に気づいたら早い段階での受診と相談をおすすめします。
眼瞼下垂の手術は保険適用が可能?

保険が適用できるかは、眼瞼下垂手術の目的によって違ってきます。
- 保険適用……治療を主たる目的とした眼瞼下垂手術
- 保険適用外……美容を主たる目的とした眼瞼下垂手術
それぞれどのようなものかを解説します。
保険適用の眼瞼下垂手術
保険適用の眼瞼下垂手術には、次のような条件があります。
- 眼瞼下垂の診断を受けている
- 治療を目的としている
- 皮膚を切る手術である
医師から眼瞼下垂と診断されていて、治療を目的とした手術であれば、保険適用になる可能性が高いでしょう。ただし、保険適用となるのは、切開を行う手術です。
保険適用の眼瞼下垂手術にかかる費用
保険適用の眼瞼下垂手術は、3割負担で約22,000円(片目)です。別途、初診料・診察費・麻酔代などがかかります。
手術を受ける場合は、どのくらいの費用がかかるかクリニックで確認してみましょう。
保険適用外の眼瞼下垂手術
眼瞼下垂があっても、次のような場合の手術は保険適用外です。
- 眼瞼下垂だが軽度で、上まぶたが黒目に被さっていない
- 美容的な改善を目的としている
- 皮膚を切らない手術である
眼瞼下垂の治療をしつつ二重幅にもこだわりたいかたは、保険適用外の手術を受けることも検討してみましょう。
保険適用外の眼瞼下垂手術にかかる費用
保険適用外の眼瞼下垂手術にかかる費用は、次の要素で変動します。
- 手術を受けるクリニック
- 手術の内容
費用の相場は150,000~400,000円です。手術を受ける場合は、複数のクリニックで費用や手術内容を比較してみましょう。
眼瞼下垂手術を受けると二重の幅はどうなる?
基本的に、眼瞼下垂が治ると、二重幅は手術前よりも狭くなります。「手術後も二重幅は広くしておきたい」との要望がある場合、考えられるのは次のような対処です。
- 保険適用での眼瞼下垂手術後に、二重幅を調整する自由診療の手術を受ける
- 保険適用外の眼瞼下垂手術を受ける
保険適用の眼瞼下垂手術では、方法が決まっていて、二重幅を自由に決められません。その理由は、保険適用の手術が治療を目的としているためです。
もちろん、手術にあたって何か要望があるのなら、医師に伝えても構いません。ただし、「要望どおりの二重幅にはならない可能性がある」と把握しておきましょう。
実際に、保険適用での手術後に二重幅が気に入らず、二重の手術を受けるかたもいらっしゃいます。不可能ではないものの、何度も手術を受けるとまぶたには負担がかかってしまうため、おすすめできません。
好みの二重幅があるかたは、最初から保険適用外での眼瞼下垂手術を検討してみましょう。
眼瞼下垂は二重幅が広くなる

眼瞼下垂になると二重幅は広がり、一重や奥二重の人も二重になります。もともとのまぶたの状態によっては、すぐ気づくかもしれません。
眼瞼下垂は、治療を受けないと少しずつ進行していく病気です。後期になると、頭痛や肩凝りなどの症状が出る場合もあるでしょう。
「二重幅が広くなってき」「いつのまにか二重になった」
そのように感じたら、まずはクリニックを受診してみてください。
記事監修者
JSKINクリニック医師 牧野潤

慶應義塾大学医学部卒業。形成外科医。シンガポール国立大学病院留学。医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域で従事。
慶應義塾大学病院、埼玉医科大学総合医療センター等勤務を経て、現在は慶應義塾大学医学部 特任助教。
大学病院での臨床・研究と並行し、レーザー・注入施術などの美容医療に特化した「JSKINクリニック」を2021年より経営・監修。