日々のムダ毛のお手入れに限界を感じているとき、プロの手を借りて脱毛をしようと考える人も多いでしょう。そこでまず悩むのが「医療と美容のどちらの脱毛を選べばよいか」です。双方それぞれメリットとデメリットがあり、効果やお手入れ完了まで期間、費用などが違ってきます。この記事では医療脱毛と美容脱毛それぞれの違いをあらゆる視点から比較し解説します。
医療脱毛とは?
医療脱毛とは、レーザーを使って毛穴の奥にある毛母組織やバルジ領域を破壊する脱毛方法です。医療脱毛はメラニン色素に反応して組織を破壊するのが特徴で、レーザーの波長は主に755〜1064nmで、脇毛やVIOなどの奥深くに生えている濃い毛に対しても対応します。1回の施術で全体の20%の毛を処理することができ、1回の施術でも高い脱毛効果が期待できるでしょう。
毛を作る組織や発毛に関わる部分をレーザーで破壊することで、半永久的に毛が生えてこないようにするため医療行為とみなされ、医師や看護師などの医療資格者のみが施術を認められています。
ここで使用される”半永久”は『医療脱毛で減毛された状態が長期に渡り維持される』ことを意味します。レーザーで組織を破壊しても、照射漏れや照射量が不十分などのさまざまな理由で、少量の毛が生えてくることもあります。
美容脱毛とは?
美容脱毛とは、高出力の光を使って毛根そのものにダメージを与えて毛を脱毛する処理方法です。美容脱毛も医療脱毛と同じように、メラニン色素に反応することで熱を発生させて毛の処理を行います。
脱毛という名前ですが、その効果は「減毛・抑毛」となり、医療脱毛のような半永久的な脱毛効果はありません。そのため一定のサイクルで継続して施術を受ける必要があります。施術を行うのは、医療資格を持たないサロンスタッフです。
医療脱毛と美容脱毛はどっちがいい?違いを徹底比較
医療脱毛は半永久的な効果があるのに対し、美容脱毛はそのような効果はありません。これだけをみると、医療脱毛の方が優れているように感じます。
しかし、最終的にどこまでムダ毛の処理をしたいかや費用面を考えると、美容脱毛で十分な場合もあります。医療脱毛と美容脱毛の違いをさまざまな視点から比較します。
1.効果
まず、より効果が高いのは医療脱毛です。医療脱毛は毛を作る組織や発毛を促す領域をレーザーで破壊することで半永久的な脱毛効果を得ているのに対し、美容脱毛は高出力の光で毛根にダメージを与えて毛を少なくする減毛・抑毛効果が得られます。
美容脱毛では高出力での施術はできないため、継続して施術を行わなければ、時間が経てばまた毛は生えてきます。一時的にツルスベ肌を叶えたい場合は美容脱毛、半永久的な効果を期待したいのであれば医療脱毛を選択しましょう。
2.完了までにかかる期間・必要施術回数
脱毛完了までにかかる期間は美容脱毛の方が長くかかる傾向にあります。
医療脱毛は一度の脱毛で全体の20%程度の脱毛効果があり、毛周期にあわせて施術を行うため1〜1年半、回数としては5〜8回程度で完了します。一方、美容脱毛は、医療脱毛に比べて出力が弱いため、脱毛完了までに2〜3年程度、合計で10〜15回かかるでしょう。
しかし、医療脱毛も美容脱毛も毛質や肌質に個人差があるため、一概には言えない部分もあります。検討する際は、検討中の医院またはサロンでカウンセリングを受けてみましょう。
3.費用
医療脱毛と美容脱毛の費用は、医療脱毛の方が高い傾向にあります。全身脱毛を例にとると、医療脱毛では1回あたり4〜8万円程度であるのに対し、美容脱毛では1回あたり2〜4万円程度のようです。
脱毛を検討する上で、1回あたりの費用を抑えて脱毛する場合は美容脱毛がおすすめですが、美容脱毛の方が施術回数が多くなるため、総額はそこまで変わらない場合があります。また、美容脱毛では効果をより実感するまでに2〜3年程度かかるため、短期間で完了を目指すのであれば医療脱毛がおすすめです。
なお、医療脱毛の費用は昔に比べると安くなっています。近年では、美容脱毛との価格差もなくなっています。条件を満たせば医療ローンを組むこともできるため、医療脱毛の予算面でのハードルは下がっていると言えるでしょう。
4.アフターフォロー
最近ではクリニックも美容サロンもアフターフォローが充実しています。例えば、施術後に肌トラブルがあった場合、クリニックでは常駐する医師がすぐに対応してくれます。肌の状態を診察して、症状に合った薬を処方してくれるため万が一のときでも安心です。
一方、美容サロンもクリニックと提携している場合があります。提携していない場合、自分で皮膚科を探す必要があるため早急な対応は難しいでしょう。
医療脱毛と美容脱毛のメリット・デメリット
医療脱毛と美容脱毛にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、一概に医療脱毛の方が良いとは言えません。メリット・デメリットを理解した上で、どちらを選ぶかを決定しましょう。
医療脱毛のメリット・デメリット
医療脱毛のメリットは、脱毛効果が高く完了までの期間が短い点です。また、医療脱毛は医療行為になるため医師や看護師が対応します。万が一、肌トラブルがあればすぐに対応してもらえる点もメリットと言えるでしょう。そして、半永久的な効果が得られることが医療脱毛最大の魅力です。
医療脱毛のデメリットは、痛みを感じやすい点です。医療脱毛はメラニン色素に反応するレーザーを使っているため、過度な日焼け肌ではやけどの恐れがあります。また、メラニン量が少ない産毛には反応しづらいため、施術完了までに時間がかかってしまいます。
美容脱毛のメリット・デメリット
美容脱毛のメリットは、出力が弱いため痛みを感じにくい点です。また、出力が弱いことで肌トラブルを起こしにくく、肌が弱い人でも施術を受けやすくなっています。
医療脱毛のデメリットは、医療脱毛に比べて効果が低く、減毛や抑毛の効果にとどまる点です。お手入れ完了後しばらくは、ムダ毛の処理から解放されますが、いずれ毛は生えてくるため、半永久的な効果を望む人にとっては物足りなさを感じるかもしれません。
医療脱毛・美容脱毛それぞれに向いている人
医療脱毛に向いている人は、短期間で効率的に半永久的な脱毛効果を得たい人です。一度の施術で全体の約20%の毛を処理できることから、一度の施術でも効果を実感しやすいでしょう。美容脱毛に比べて費用がかかる傾向にありますが、短期間で完了するため、忙しい人にも向いています。
一方、美容脱毛に向いている人は肌が弱く、痛みに敏感な人です。また、若いうちだけなど一時的な脱毛効果を得たい人に向いています。美容脱毛は出力が弱いため、医療脱毛に比べると痛みを感じにくく肌トラブルが気になる人も受けやすくなっています。
半永久的な脱毛効果がないため、そうした希望がある人にとっては物足りなさを感じますが、期間限定でツルスベ肌を望むのであれば、予算を抑えて施術を受けることができるでしょう。
まとめ
医療脱毛と美容脱毛はそれぞれ特徴があり、効果や期間、費用なども異なります。半永久的な効果を望むのか、痛みに配慮して一時的に脱毛を楽しむのかなどで、どちらを選択するか変わってくるでしょう。
医療脱毛と美容脱毛の両方にメリット・デメリットがあるため、自分の希望や予算を考えた上で決定することが大切です。クリニックもサロンも無料のカウンセリングがあるため、両方のカウンセリングを受けたり、各サイトのメニューやアフターフォローの内容を見てよく検討してみましょう。
記事監修者
JSKINクリニック医師 牧野潤
慶應義塾大学医学部卒業。形成外科医。シンガポール国立大学病院留学。医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域で従事。
慶應義塾大学病院、埼玉医科大学総合医療センター等勤務を経て、現在は慶應義塾大学医学部 特任助教。
大学病院での臨床・研究と並行し、レーザー・注入施術などの美容医療に特化した「JSKINクリニック」を2021年より経営・監修。