医療脱毛と毛嚢炎|原因、治療・予防法を解説!脱毛は続けられる?

医療脱毛を受けて数日後にニキビのようなブツブツができることがあります。このような状態を毛嚢炎と言い、脱毛後によく見られる症状のひとつです。痛みがない場合がほとんどですが、その後の脱毛ができるか気になるところです。

この記事では、医療脱毛で起こる毛嚢炎について、原因や治療法、予防法を解説します。さらに、毛嚢炎ができても脱毛を続けることができるかについても解説しています。

目次

毛嚢炎とは?

毛嚢炎(もうのうえん)は、毛穴の奥の「毛包」や「毛嚢」と呼ばれる毛根部分に起こる炎症です。毛包部分にできた小さな傷に原因菌である「黄色ブドウ球菌」や「表皮ブドウ球菌」などのありふれた細菌が感染することで発症します。

毛嚢炎の症状は、赤または白いブツブツができます。見た目はニキビに似ているのが特徴です。かゆみはあるものの、軽度で痛みはありません。通常は数日経てば自然に治癒しますが、進行すると患部の熱感や圧迫感、さらに全身症状として発熱や倦怠感を伴います。

悪化すると、毛嚢炎が治っても色素沈着を起こすことがあります。そのため、早めに対応することが大切です。

毛嚢炎ができやすい場所

毛嚢炎は毛穴があれば体のどこにでもできる可能性がありますが、特に顔や首のうしろ、背中、脇、太もも、Vラインなど汗をかきやすい場所にできやすい傾向があります。

毛嚢炎の原因菌となる黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌は、皮脂の分泌が盛んでムダ毛が多く雑菌が繁殖しやすい環境を好みます。

毛嚢炎はよくニキビと間違われますが、ニキビの原因はアクネ菌で原因菌が異なります。とはいえ、見た目では判断できないことが多いため、気になるときは皮膚科を受診しましょう。

毛嚢炎の原因

毛嚢炎は何らかの原因で毛穴に細菌が入り込んで起こります。その代表的な原因は医療脱毛や誤ったムダ毛の処理方法、生活習慣の乱れ、薬の副作用です。それぞれを解説します。

医療脱毛

医療脱毛はメラニンに反応するレーザーを照射して、毛包部分の組織を破壊します。このとき、毛包以外にも、肌そのものにもダメージが加わるため、一時的にバリア機能が低下してしまうのです。医療脱毛でバリア機能が低下した毛穴に雑菌が入り込むと、毛嚢炎を引き起こします。

医療脱毛で起きる毛嚢炎は、数日後すぐに症状がでることもあれば、1〜2週間後にできる場合もあります。医療脱毛後の毛嚢炎は比較的起こるため、施術からしばらくは肌の清潔を保ちながら様子をみましょう。

ムダ毛の処理

カミソリや毛抜き、ワックスなどを使ったムダ毛の処理も毛嚢炎を引き起こす可能性があります。肌のコンディションがよくないときにカミソリやワックスを使うと、肌に小さな傷ができてしまいます。その小さな傷から細菌が入り込んで毛嚢炎になったり、周辺が赤くなって炎症を起こしたりして肌トラブルになってしまうのです。

また毛抜きを使ったムダ毛の処理は、強く引き抜くと出血したりその部位から細菌が入り込んで炎症を引き起こしたりします。

ムダ毛の処理をしたあとはしっかり保湿をすることはもちろんですが、肌のコンディションがよくないときは自分でムダ毛を処理するのは控えましょう。

生活習慣の乱れ

睡眠不足や偏った食事、ストレスなどの生活習慣の乱れは、肌のバリア機能が低下する原因です。こうしたときにムダ毛の処理を行ったり、医療脱毛を受けたりすると、ターンオーバーが乱れやすくなり、肌のバリア機能は低下します。このような原因でも毛嚢炎ができることがあるため注意しましょう。

肌のバリア機能が低下すると、普段使っている基礎化粧品が合わなくなったり、ニキビができやすくなったり、肌のカサつきが目立つようになったりするなど、肌トラブルが起こるようになります。

薬の副作用

ステロイド系の塗り薬を使っていると、副作用として毛嚢炎を引き起こすことがあります。ステロイドは皮膚の免疫反応を抑制するため、細菌が入り込むと普段は悪さをしない菌でも感染を起こしやすくなります。

ステロイド系の塗り薬を使っている部位に毛嚢炎が出るときは、医師に相談してみましょう。

毛嚢炎の対処・治療法

医療脱毛を受けると、毛嚢炎の予防として軟膏を処方してもらえることがあります。また、施術後は専用の保湿クリームなどで肌を保湿してケアをしてくれるクリニックもあります。

それでも医療脱毛後に毛嚢炎ができてしまうことがあり、そうしたときには患部を触らず、保湿をして肌を清潔に保つことが大切です。

肌の保湿

医療脱毛後の肌はバリア機能が低下しており、肌が乾燥しやすくなっています。肌が乾燥するとバリア機能はより低下しやすく、肌トラブルを招きやすくなるためしっかり保湿することが大切です。

毛嚢炎は軽度であれば、数日程度で自然に治ります。特に痛みや赤み、腫れなどの症状がない場合は、患部を清潔にして保湿を心がけましょう。

患部を触らない

毛嚢炎ができてかゆみをともなうとき、ついつい患部を触ってしまうでしょう。しかし、毛嚢炎はニキビのように膿が溜まって赤く腫れることもあり、そうしたときに患部を触ってしまうと傷口が広がったり、新たに細菌が入り込んだりして悪化することがあります。

悪化すると色素沈着の原因になる場合や、切開する処置が必要になったりすることもあります。かゆみが我慢できない場合には、無理をせず病院を受診しましょう。

悪化する場合は皮膚科を受診

患部を清潔にして保湿を心がけていても悪化する場合には、無理をせず医療脱毛を受けたクリニックや皮膚科を受診しましょう。

症状がひどいとき、市販の薬で対応する方法もありますが、ステロイド剤の自己判断での使用はかえって悪化させる可能性があるため控えましょう。気になる症状があれば、医師に相談して専用の薬を使用してください。

毛嚢炎の予防法

毛嚢炎の予防も基本的には、治療法と同じように肌の清潔を心がけて、保湿を徹底してバリア機能を低下させないようにすることが大切です。普段から肌荒れを起こしやすい人は、スキンケア用品を変えたり皮膚科に相談したりしてみましょう。

また、衣類や寝具も肌にあった清潔なものを使いましょう。とくに寝具は、就寝時に汗をかいて雑菌が繁殖しやすく不衛生になりがちです。肌に触れるものはこまめに洗濯して清潔に保ちましょう。

そして、医療脱毛中のムダ毛のセルフケアにも注意しましょう。医療脱毛が完了するまでは、ムダ毛のケアをしない方がよいとされています。

しかし、脱毛を始めたばかりの頃は部位によっては毛が目立ってしまうことも。どうしても気になる場合は電気シェーバーなど肌への負担が少ないものを使いましょう。

毛嚢炎でも医療脱毛はできる?

毛嚢炎でも状態によっては医療脱毛を受けることができます。例えば、毛嚢炎が軽度で範囲が狭い場合や、治りかけの場合などです。赤みがある場合や、化膿している場合はレーザーを照射することができず、施術を受けることができない場合があります。

前回の施術で毛嚢炎ができてしまったり、施術時に照射部位に毛嚢炎がある場合は、医師の診察の上で施術を受けましょう。

まとめ

医療脱毛を受けると数日から2週間程度で、毛嚢炎と呼ばれるニキビのようなブツブツができることがあります。毛嚢炎は自然に治ることがほとんどですが、悪化すると膿が出たり熱感を持ったりするため、外用薬での治療が必要になることがあるため注意しましょう。

毛嚢炎がある場合は状態をみて施術を受けることができますが、赤みや化膿している場合は施術ができないことがあります。普段から保湿を心がけ、ムダ毛の処理方法を見直して毛嚢炎を防ぎましょう。

記事監修者

JSKINクリニック医師 牧野潤

慶應義塾大学医学部卒業。形成外科医。シンガポール国立大学病院留学。医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域で従事。
慶應義塾大学病院、埼玉医科大学総合医療センター等勤務を経て、現在は慶應義塾大学医学部 特任助教。
大学病院での臨床・研究と並行し、レーザー・注入施術などの美容医療に特化した「JSKINクリニック」を2021年より経営・監修。

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