【医療脱毛】熱破壊式の効果は?蓄熱式との違いやレーザーの種類を解説

脱毛の違いとして、よく医療脱毛と美容脱毛が比較されますが、実は医療脱毛も細かく分けると「熱破壊式」と「蓄熱式」があるのをご存じですか?それぞれ効果や得意とする毛質が異なるため、違いを理解すればより効果的な脱毛ができるかもしれません。この記事では医療脱毛とはどのような脱毛方法か、熱破壊式と蓄熱式の効果や違い、メリット・デメリット、レーザーの種類などを詳しく解説します。

目次

医療脱毛と美容脱毛の違い

医療脱毛の照射方式を理解する前に、よく知られている医療脱毛と美容脱毛はどのような違いがあるのかを解説します。

医療脱毛

医療脱毛は、メラニン色素に反応するレーザーを照射して、毛根付近にある毛母細胞やバルジ領域を破壊し、半永久的に毛が生えてこないようにする脱毛方法です。一度の施術で、脱毛したい箇所の20%程度の毛を処理することができ、一度の施術でも高い脱毛効果が期待できます。

医療脱毛は『永久脱毛』とも言われています。ここでの永久とは厚生労働省では「医療脱毛で減毛された状態が長期に渡り維持される」としています。

医療脱毛は組織そのものを高出力で破壊するため、医療行為にあたります。そのため、医師や看護師の医療資格者の施術しか認められていません。

美容脱毛

美容脱毛は、高出力の光を毛根そのものに照射してダメージを与えることで、毛が生えてこないようにする脱毛方法です。

脱毛と言ってもその効果は、「減毛」「抑毛」にとどまり、医療脱毛のように組織を破壊する医療行為はできないため、脱毛を辞めてしばらくすると、また毛が生えてくるようになります。

施術を行うのは脱毛サロンに勤務するサロンスタッフです。医療資格はないものの、美容脱毛に関する知識を有しています。

医療脱毛で行われる熱破壊式と蓄熱式の違いは?

医療脱毛で用いられる照射方式には「熱破壊式」と「蓄熱式」があります。どちらもレーザーを照射してメラニン組織に反応した毛根細胞を破壊しますが、対象とするターゲットが異なり、得意な毛質も異なります。ここでは熱破壊式と蓄熱式の違いを解説します。

熱破壊式とは?

熱破壊式は、高出力のレーザーで「毛母細胞」を照射して毛根の組織を破壊することで脱毛効果を得る方式です。短期間で脱毛効果が期待できますが、蓄熱式に比べて痛みを感じやすい傾向にあります。

照射から毛が抜け落ちるまでは約2〜3週間で、回数を重ねることでより脱毛効果が期待できるでしょう。得意な毛質は、濃い毛や太い毛でVIOや脇、男性のすね毛などに力を発揮します。

蓄熱式とは?

蓄熱式は、高出力のレーザーで「バルジ領域」を照射して毛根の組織を破壊する脱毛方法です。

蓄熱式は肌を滑らせながらゆっくりと照射するため、熱変性を起こしにくく熱破壊式に比べると痛みを感じにくいのが特徴です。しかし、毛が抜け落ちるまでに約3〜4週間かかるため、効果を実感するのに時間差があります。

熱破壊式のように、濃い毛や太い毛に対するアプローチは苦手で、産毛のような細い毛の脱毛が得意です。

熱破壊式と蓄熱式のメリット・デメリット

ここからは熱破壊式と蓄熱式のメリット・デメリットからそれぞれの特徴を比較します。

熱破壊式のメリット・デメリット

熱破壊式のメリットは、一回の施術で多くの毛が処理できるためトータルの脱毛回数が少なく済む傾向があります。また比較的安全性も高く、肌へのダメージも少ないのが特徴です。

一方で、熱破壊式は高い技術力が必要になるため費用が高くなる傾向にあります。そして、熱破壊式は痛みを感じやすく、痛みに弱い方には不向きです。また、日焼け肌や色素沈着を起こしている肌には、痛みが強く出てしまうため施術を受けられません。

蓄熱式のメリット・デメリット

蓄熱式のメリットは、痛みが少ないため痛みに抵抗がある方や初めて医療脱毛を受ける方に向いています。低出力で照射することも可能なため、回数は増えてしまいますが施術時の痛みを軽減できます。施術中はじんわりと温かさを感じる程度です。日焼け肌や色黒の方も施術を受けやすいでしょう。

蓄熱式のデメリットは、脱毛効果が出るまでの期間が長いということや、施術者の技量によっては十分なエネルギーが与えられず、施術範囲全体で効果が不十分になってしまうリスクがあることです。さらに、正規品ではない偽物の脱毛器を扱うクリニックがあるという報告もあります。医療脱毛の脱毛器は厚生労働省認可の脱毛器や米国食品医薬品局(FDA)の脱毛器を使用する場合が多いですが、脱毛器そのものの値段が高いことから、偽物を使っているクリニックがあるようです。

クリニックによっては使用する脱毛器の証明書を掲示している場合がありますので、正規品であることを確認してから契約するのもトラブルなく脱毛をするためには大切です。

レーザーの種類と得意な毛質

熱破壊式や蓄熱式などの脱毛方式のほかにも、あわせて知っておきたいのが照射に使用するレーザーの種類です。

現在、医療脱毛に使われているのは以下の3つです。

  • アレキサンドライトレーザー
  • ヤグレーザー
  • ダイオードレーザー

それぞれ得意とする毛質が異なるため、脱毛効果をいまいち実感できない場合は自分の毛質にあったレーザーを使っているか確認しましょう。ここではそれぞれの特徴を紹介します。

アレキサンドライトレーザー

アレキサンドライトレーザーは波長が755nmで真皮層に到達できるレーザーで、メラニンの吸収に優れています。3つのレーザーのうち最も波長が短く、太く濃い毛への照射が得意で、効果的に効率よく脱毛できるのが特徴です。

皮膚の浅い部分の毛に対しても施術できますが、メラニンが薄い産毛には反応しにくいです。一方で、日焼けしている肌のメラニンにも反応してやけどのリスクを高めるため、日焼け肌には使用できません。

ダイオードレーザー

ダイオードレーザーの波長は800〜940nmで、アレキサンドライトレーザーとヤグレーザーの中間の波長でメラニンへの反応性も中間程度です。比較的痛みが少なく、多少の日焼け肌や色素沈着でも脱毛することができます。

通常のムダ毛だけでなく産毛や細い毛にも対応しています。ダイオードレーザーは蓄熱式と熱破壊式の両方に対応しており、蓄熱式で使用する場合は、少しずつ熱を加えて組織を破壊するため、痛みを感じにくく、痛みに抵抗がある方にも向いています。

ヤグレーザー

ヤグレーザーの波長は1,064nm皮下脂肪まで到達するレーザーです。最も波長が長く、VIOや脇毛などの根深い毛にも施術することができます。

ヤグレーザーはメラニン色素に反応しにくいため、ほかの波長では対応できない日焼け肌や色素沈着した肌にも照射することができます。ただし、波長が長い分肌の奥までレーザーが届くため、施術時に痛みを感じやすいでしょう。

各種の特徴を理解して、適切な施術計画を立ててくれるクリニックを選ぶ

医療脱毛の効果を高めたいのであれば、自分の肌質や毛の状態を踏まえて、適切なプランを提案してくれるクリニックを選ぶとよいでしょう。医療脱毛に関する正しい知識や、適切な機器管理を徹底しているクリニックで施術を受けることで、照射不足ややけどなどの医療脱毛に起こりがちなトラブルを避けることができます。

各クリニックの公式サイトでは導入している脱毛器を紹介していますので、クリニックを検討するときは参考にしてみてください。

まとめ

一口に医療脱毛と言っても使用する脱毛器によって、得意な毛質や効果は異なります。現在、熱破壊式は医療脱毛の主流な照射方式として、幅広く使われていますが、蓄熱式と使い分けることで、より効果的に脱毛できます。クリニックの公式サイトなどを確認しながら、気になる脱毛器が導入されているかチェックしてみるのもおすすめです。本記事を参考に、効率よく脱毛を進めてはいかがでしょうか。

記事監修者

JSKINクリニック医師 牧野潤

慶應義塾大学医学部卒業。形成外科医。シンガポール国立大学病院留学。医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域で従事。
慶應義塾大学病院、埼玉医科大学総合医療センター等勤務を経て、現在は慶應義塾大学医学部 特任助教。
大学病院での臨床・研究と並行し、レーザー・注入施術などの美容医療に特化した「JSKINクリニック」を2021年より経営・監修。

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