首に小さいイボができてしまい、お悩みのかたも多いでしょう。衣類では隠せない場所のイボは、気になってしまうものですよね。イボでお悩みでしたら、除去について皮膚科や美容皮膚科で相談してみましょう。
本記事では、首にできる小さいイボの種類・原因・治療方法などを解説します。首のイボでお悩みのかたは、ぜひ内容をご覧ください。
首にできる小さいイボの種類
首にできるイボのなかで特に多いのが次の4つです。
- アクロコルドン
- スキンタッグ
- 軟性線維腫
- 脂漏性角化症(老人性イボ)
首にできるイボの多くがアクロコルドン・スキンタッグ・軟性線維腫と呼ばれる良性の皮膚腫瘍です。
また、10パーセントほどの割合で、脂漏性角化症(老人性イボ)ができる場合もあります。
ウイルス性のイボである尋常性疣贅の割合は低く、わずか2パーセントほどしかありません。
4つのイボについて、どのようなものか特徴を見てみましょう。
アクロコルドン
円形をした直径1~2ミリ程度の小さなイボがアクロコルドンです。色は薄茶または茶色で、首全体に広がりやすい傾向にあります。
スキンタッグ
アクロコルドンより少し大きく皮膚から飛び出ているイボが、スキンタッグです。スキンタッグは脇や鼠径部などにも生じます。
軟性線維腫
スキンタッグよりも大きく5ミリを超えるものが軟性線維腫です。軟性線維腫は5センチを超えるものもあります。色は肌色や薄茶色です。
脂漏性角化症(老人性イボ)
中年以降に多く見られるのが、老人性イボとも呼ばれる脂漏性角化症です。脂漏性角化症は良性の皮膚腫瘍で、わずかに盛り上がりがあります。色は褐色から黒色で、大きさは数ミリ~3センチくらいです。
大きくなるときにかゆみを感じることがあります。
小さいイボが首にできる原因
まだ完全には明らかになっていないものの、小さいイボが首にできる原因には次のようなものがあると考えられています。
- 紫外線
- 摩擦
- 加齢による肌の老化
3つの原因について、それぞれ紹介します。
紫外線
メイクや衣類などで隠れていない首は、紫外線にあたる機会が多い場所です。紫外線を浴びた肌は、メラニン色素を作って肌の内部にある細胞を紫外線から守ろうとします。通常なら、メラニン色素はターンオーバーで体外に排出されるでしょう。しかし、新陳代謝が低下するとメラニン色素が排出されず、イボになってしまいます。
摩擦
衣類やネックレスなどによる摩擦もイボの発生につながります。首は皮膚がやわらかいため、衣類による摩擦でも大きなダメージを受けてしまうのです。イボの発生を防ぐために、衣類やアクセサリーによる刺激に注意してください。
加齢による肌の老化
加齢による肌の老化も、イボの発生に大きく関係しています。肌が老化すると新陳代謝が衰えてしまうためです。
30代を過ぎると肌が老化して、首のまわりにイボができやすくなります。ただし、厳密に何歳からと決まっているわけではありません。イボができやすい体質で、20代から症状に悩まされる人もいます。
首にできる小さいイボの治療方法
イボは種類によって適切な治療方法が違ってきます。そのため、治療を考えているのなら皮膚科や美容皮膚科など、クリニックで相談してみましょう。首にできる小さいイボは、次のような方法で除去できます。
- 炭酸ガスレーザー治療
- 液体窒素による凍結療法
- ハサミやメスによる手術
4つの方法についても紹介しますので、治療を検討する材料としてご確認ください。
炭酸ガスレーザー治療
首のまわりにある小さいイボの除去でよく使われているのが、炭酸ガスレーザー治療です。炭酸ガスレーザー治療では、熱エネルギーを使ってイボを蒸散させて削り取ります。局所麻酔をするため、施術中の痛みはほとんど感じないでしょう。
出血も少なく、一度に複数のイボを除去できるため、炭酸ガスレーザー治療は人気の施術です。保険適用外であるため、必要な費用は施術を受けるクリニックによって違います。除去するイボの数でも費用が変わってきますので、まずはカウンセリングを受けてみましょう。
液体窒素による凍結療法
ウイルス性のイボで治療の第一選択肢となるのが、液体窒素による凍結療法です。凍結療法では、マイナス196度の液体窒素を使って、患部にあるイボを凍結して壊死させます。完治のためには、1~2週間おきに繰り返し施術を行わなくてはなりません。
施術を行うと、ウイルスに感染した皮膚がかさぶたになって剥がれ落ちます。繰り返し施術することによって、やがて正常な皮膚だけ残るという仕組みです。
液体窒素を使う方法は保険適用が可能になるものの、茶色く色素沈着する可能性が高いことがデメリットです。見た目が気になって除去するのなら、炭酸ガスレーザーによる方法が適しているでしょう。
ハサミやメスによる手術
首のイボは、手術で除去する方法もあります。局所麻酔を行うため、ハサミやメスによる手術でも痛みは感じないでしょう。ただし出血がしやすかったり、傷あとの色素沈着が強く残りやすい可能性があります。
手術は、1センチを超えるような盛り上がった大きなイボの除去に適した方法です。状態によっては適していない可能性もあります。
首にできる小さいイボでよくある質問
首のイボについて、周囲に相談できずお悩みのかたも多いでしょう。よくある質問と答えも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
首の小さいイボは自然にとれますか?
ウイルス性のイボは自然に取れる場合があります。自然にとれるのは、体内でイボへの抗体ができるためです。
ただし、抗体ができるまでには数か月~数年の月日がかかり、そのあいだイボは成長や増殖を続けます。
首の場合、イボはウイルス性ではなく紫外線や刺激などが原因です。そのため、首まわりに小さいイボができてしまったときは、自然治癒を待つよりもクリニックでの除去がおすすめです。
市販薬で首のイボは治りますか?
市販薬で首のイボを治すのは難しいでしょう。イボの除去を目的とした市販の塗り薬や貼り薬は、硬くなった角質をやわらかくする働きを持つものです。首のまわりにあるやわらかいイボの除去には適していません。
イボは種類に合わせて治療を行う必要があります。除去を考えているのなら、まずはクリニックで医師による診察を受けてみましょう。
首イボは保湿でとれますか?
保湿では首イボはとれません。なぜなら、原因が古い角質によるものではないためです。首のイボの多くは、良性の皮膚腫瘍であるため、保湿だけではとれません。
ただし、保湿はイボの予防に効果的です。肌へのダメージを防ぐために、普段の生活ではクリームを使って保湿を行いましょう。
首のイボは移りますか?
首まわりにできるイボの多くはウイルス性ではなく、良性の皮膚腫瘍です。そのため、まわりの人に移る可能性はないと考えられます。
注意する必要があるのは、尋常性疣贅や扁平疣贅などウイルスが原因で発生するイボです。ただし、稀ではありますが、首まわりにウイルス性のイボができる場合もあります。
種類によって治療方法には違いがありますので、イボが気になったら1度クリニックを受診してみましょう。
首の小さいイボはクリニックでの治療が可能
個人差はあるものの、30代を過ぎると発生しやすいのが首まわりのイボです。首まわりにイボができてしまうのは、紫外線・摩擦・加齢による肌の老化などが原因だと考えられています。
イボができないよう、なるべく紫外線対策を行い、摩擦から肌を守りましょう。できてしまったイボはクリニックで除去できますので、相談してみてくださいね。
記事監修者
JSKINクリニック医師 牧野潤
慶應義塾大学医学部卒業。形成外科医。シンガポール国立大学病院留学。医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域で従事。
慶應義塾大学病院、埼玉医科大学総合医療センター等勤務を経て、現在は慶應義塾大学医学部 特任助教。
大学病院での臨床・研究と並行し、レーザー・注入施術などの美容医療に特化した「JSKINクリニック」を2021年より経営・監修。