安全性が高く手軽であるため、ヒアルロン酸注射は人気の施術です。ただし、ヒアルロン酸注射は副作用を引き起こす可能性もあります。
施術を受けるにあたっては、どのような副作用があるかを知っておきましょう。ヒアルロン酸注射の副作用やデメリットを紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。
ヒアルロン酸注射の副作用
美容・医療の分野で使われているのがヒアルロン酸注射です。副作用の多くは軽度なもので、大抵は時間が経つと落ち着きます。
代表的な副作用は次のようなものです。
- 内出血する
- 赤み・腫れ・むくみが生じる
- 痛みや違和感が出る
- チンダル現象が起きる
- 血管塞栓やアレルギーが起こる
副作用について、それぞれ解説します。
内出血する
ヒアルロン酸注射は、施術後に内出血する可能性があります。内出血するのは、針が血管を傷つけてしまうためです。特に、皮膚が薄い目の周りやあご先などの部位は、内出血が起きやすい傾向があります。ただし、施術後数日~1週間程度で内出血は消失するでしょう。
経験が豊富な医師が施術すると、内出血のリスクは軽減できます。内出血しても、ファンデーションやコンシーラーによるカバーが可能です。
赤み・腫れ・むくみが生じる
ヒアルロン酸注射では、赤み・腫れ・むくみが生じる可能性もあります。症状は3~4日で落ち着くのが一般的です。
副作用を防ぐために、施術から数日は施術部位に刺激を与えないよう注意してください。また、血行が良くなると症状が出やすくなるため、治療当日の運動・飲酒・入浴は控えましょう。施術部位を冷やすと症状を軽減できます。
痛みや違和感が出る
ヒアルロン酸注射では、痛みや違和感が出ることもあるでしょう。顔は敏感な部位で、一般的な注射よりも痛みが強く感じられます。
痛みは、局所麻酔や施術部位の冷却で軽減可能です。通常は数日で落ち着きますが、痛みが強い場合や長引く場合は、クリニックで相談してみましょう。
チンダル現象が起きる
施術部位が青く透けて見える「チンダル現象」も、ヒアルロン酸注射による副作用のひとつとして挙げられます。
チンダル現象が特に起きやすいのは目の下です。目の下は皮膚が薄くて光を通しやすいため、チンダル現象が起きやすい傾向にあります。知識のある人が見ると、ヒアルロン酸注射によるチンダル現象だとわかってしまうかもしれません。
チンダル現象が起きた場合、ヒアルロン酸溶解注射で解消できます。皮膚の薄い場所が青く見えていると気づいたら、クリニックで相談してみてください。このようにチンダル現象のリスクが高い目の下については、いわゆるサーモン注射などのヒアルロン酸以外の治療が推奨される場合もあります。
血管塞栓やアレルギーが起こる
ヒアルロン酸注射での重篤な副作用が、血管塞栓やアレルギーです。
皮膚の真皮層ではなく血管にヒアルロン酸製剤を注入すると、血管塞栓を引き起こします。血管塞栓は、皮膚の壊死や失明につながる可能性がある副作用です。
次のような症状が出ている場合、血管塞栓が起きている可能性があります。
- 皮膚の色が暗い紫色になっている
- ニキビのような湿疹や水泡ができている
- 真っ黒なかさぶたができている
該当する症状が出た場合は治療が必要ですので、すぐに医師の診察を受けてください。
ヒアルロン酸注射では、アレルギーも副作用もひとつとして考えられます。ヒアルロン酸は人間の体内にある成分であるため、基本的にアレルギーのリスクは少ないです。ただし、まったくアレルギー反応が出ないわけではありません。
アレルギー反応で出るのが、かゆみ・じんましんなどの症状です。施術後すぐではなく、数日経ってからアレルギー症状が出る場合もあります。
アレルギーが疑われる場合も、なるべく早めに医師の診察を受けてください。
ヒアルロン酸注射でのデメリット
副作用以外にも、ヒアルロン酸注射には次のようなデメリットがあります。
- 効果が永久ではない
- 仕上がりが不自然になる可能性がある
2つのデメリットについても見ていきましょう。
効果が永久ではない
ヒアルロン酸注射の効果は、永久ではありません。ヒアルロン酸は、もともと人間の体内に存在している物質です。そのため、注入したヒアルロン酸は時間が経つと体内に吸収されてしまいます。
効果の持続期間は、6か月~1年半が一般的な目安です。見た目への効果を持続させるには、繰り返し施術を受けなくてはなりません。
左右が非対称になる可能性がある
ヒアルロン酸注射では、左右が非対称になる可能性もあります。
大抵の人は、顔が左右非対称です。そのため、左右で同じ量のヒアルロン酸を注入すると、仕上がりが非対称になってしまいます。
非対称になってしまったら、ボリュームが足りない側に再度ヒアルロン酸を注入すると解消できるでしょう。
不自然になる可能性がある
ヒアルロン酸注射では、仕上がりが不自然になってしまう可能性もあります。
不自然になってしまう原因として考えられるのが、ヒアルロン酸の注入量や注入角度です。対策として、実績や知識の豊富な医師による施術を受けましょう。
ヒアルロン酸注射に期待できる効果
デメリットはあるものの、ヒアルロン酸注射はさまざまな効果に期待できる施術です。代表的な効果には、次のようなものがあります。
- シワやたるみを改善する
- ほうれい線を改善する
- 唇をボリュームアップする
- 鼻を高くする
- 輪郭を整える
- 涙袋を作る
- 額に丸みをつける
美容では、ハリや弾力を出す効果に期待できるのがヒアルロン酸注射です。注射によって、シワ・たるみ・ほうれい線などの悩みを解消できるでしょう。
ヒアルロン酸注射で失敗しないためのポイント
ヒアルロン酸注射の施術を受けるにあたって、失敗しないか心配な方も多いでしょう。失敗を防ぐには、次のようなポイントがあります。
- 適切な量のヒアルロン酸を注入する
- 実績が多く信頼できるクリニックを選ぶ
- 施術後はアフターケアを行う
3つのポイントについて、それぞれ見ていきましょう。
適切な量のヒアルロン酸を注入する
失敗を防ぐには、適切な量のヒアルロン酸を注入することが大切です。
シワやたるみの改善で、なるべく多くヒアルロン酸を入れたいと思う人もいらっしゃるかもしれません。確かに、ヒアルロン酸の注入量が少ないと思うような効果は得られません。しかし、注入量が多いと、仕上がりが不自然になってしまいます。
失敗を防ぐためにも、カウンセリングでは希望の仕上がりについて相談してみてください。医師と相談のうえで、適切な量のヒアルロン酸を注入しましょう。
信頼できるクリニックを選ぶ
ヒアルロン酸注射で失敗を防ぐには、クリニック選びが大切です。クリニック選びでは、以下のポイントをチェックしてみてください。
- カウンセリングでの対応
- 実績や経験
- アフターフォローの有無
ヒアルロン酸注射は、カウンセリングでの対応が良いクリニックがおすすめです。
対応が悪いクリニックだと、わからないことがあっても相談しづらく不安が残ってしまいます。メリットだけでなく、デメリットも丁寧に説明してくれるクリニックを選んでください。
また、クリニックの実績や経験のチェックも必要です。実績が多いクリニックを選ぶと、失敗するリスクが低くなります。
複数のクリニックでカウンセリングを受けると、比較検討に役立つでしょう。アフターフォローがあるかも忘れずにチェックしてみてください。
施術後はアフターケアを行う
施術後にアフターケアを行うことも、ヒアルロン酸注射で失敗を防ぐための重要なポイントです。
施術当日は飲酒・入浴・運動を控えましょう。施術部位を冷やすと、腫れやむくみの予防に役立ちます。また、なるべく刺激を与えないよう注意することも大切です。
効果を長持ちさせるためにも、ぜひアフターケアを行ってください。
副作用はあるもののヒアルロン酸注射は効果的な施術
いくつか副作用やデメリットはあるものの、ヒアルロン酸注射は効果的な施術です。注射によって、シワやたるみの改善などに効果が期待できます。また、気になるほうれい線の解消にも効果的です。
気になる悩みがあったら、ぜひヒアルロン酸注射の施術を検討してみてくださいね。
記事監修者
JSKINクリニック医師 牧野潤
慶應義塾大学医学部卒業。形成外科医。シンガポール国立大学病院留学。医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域で従事。
慶應義塾大学病院、埼玉医科大学総合医療センター等勤務を経て、現在は慶應義塾大学医学部 特任助教。
大学病院での臨床・研究と並行し、レーザー・注入施術などの美容医療に特化した「JSKINクリニック」を2021年より経営・監修。