医療脱毛をしていると「日焼けをしないでください」と言われることがあります。日焼けしてしまうと肌にダメージができてしまい施術に支障をきたすことがあるためです。では、どの程度の日焼けであればこれまで通りに脱毛できるのでしょうか?この記事では、医療脱毛中の日焼けのリスクや施術ができる日焼けの程度、日焼けをしたときの対処法、予防法を解説します。
医療脱毛と日焼けの関係|NGなのはなぜ?
レーザーを照射して毛根組織を破壊する医療脱毛は、毛根のメラニンに反応して熱を発生させることで組織を破壊しています。紫外線を浴びて、日焼けをするとメラニンが大量に作られて肌の色が濃くなるため、この状態で脱毛を受けると、次のようなリスクが高くなります。
1.痛みに敏感になる
日焼けをした肌はいつも以上に敏感になっているため、照射すると強い痛みを感じることがあります。
また通常は毛根のメラニンのみに反応する脱毛器が、日焼けした肌にも反応してしまい肌全体が熱を持ってしまいます。日焼けの程度によってはやけどをしてしまうため注意が必要です。
2.十分な効果を得られない
日焼けした肌に照射するとやけどや肌を傷つけてしまう恐れがあります。そのため日焼けした肌に施術ができるとなった場合は、照射出力を下げなくてはなりません。
しかし出力を下げるということは、十分な脱毛効果を得られなくなってしまいます。そのため、施術の回数が増えて、費用も高くなる傾向にあります。
3.肌トラブルがおこりやすくなる
日焼けした肌にレーザーを当てると肌はダメージを受けやすく、やけどなどの炎症を引き起こす可能性があります。さらに乾燥や色素沈着などの肌トラブルが起こりやすくなる点にも注意が必要です。
通常であれば、脱毛でダメージを受けた肌はしっかりと保湿をすることで、徐々に肌の状態は改善していきます。しかし、日焼けでダメージを受けている肌にさらに負担がかかると、治りが遅いばかりか、炎症がひどくなることもあります。炎症がなかなか改善しない場合は、医療機関を受診しましょう。
4.施術できないケースもある
日焼けの程度によっては医療脱毛を一時的に断られる場合もあります。これは日焼け肌へのさらなる肌トラブルを避けるためです。
本来のスケジュール通りに施術ができないと、肌が落ち着くのを待つ必要があるため、お手入れが完全に完了するまでにより長い時間がかかってしまいます。
契約内容によっては、キャンセル料を取られたり、決められた契約期間に完了しないことで追加料金がかかってしまうこともあるため、契約時に規約を確認しておきましょう。
施術間近なときの日焼けの許容範囲は?
日焼けした肌に施術ができるかどうかは、紫外線を浴びた量や時間ではなく目視で判断されます。紫外線を浴びていても肌の色に変化がない、またはクリニックの許容範囲であれば施術は可能です。
施術ができない肌は色が黒くなった肌だけではなく、日焼けした直後の赤くなった肌に対しても施術はできません。
ただし、日焼けをしていても施術ができる場合があります。それは、脱毛を行う部位以外を日焼けしているときです。足の脱毛をする予定で腕のみ日焼けしている場合は腕の施術を受けることができます。
しかし、気づいていないだけで施術予定の部位も日焼けをしている可能性があるため、まずは医師の診察を受けて日焼けの有無を判断しましょう。
また、クリニックごとに採用している脱毛機器によっても日焼けの許容範囲が異なる場合があります。例えばYAG(ヤグ)レーザーを使用した熱破壊式や、一部の蓄熱式レーザー機器などでは、一定程度の日焼けがあっても施術が可能となります。
日焼けをしたとき期間はどのくらい空ける?
脱毛期間中に日焼けをしてしまったときは、肌トラブルを避けるために日焼けが落ち着いて元の肌の色に戻るまでは施術をお休みするのが望ましいでしょう。
脱毛を再開できるまでの期間は個人差がありますが、夏で3か月程度、冬では2か月程度かかります。これは自然に回復するのを待つ場合です。ケアをして回復を早めた場合でも、すぐの施術が難しいため、やはり医療脱毛をしている最中は日焼け対策を徹底しましょう。
ただし、全身脱毛をしていて日焼けをしている部位が限定されている場合は、日焼けをしていない部位を先に進めることができます。とはいえ、一度日焼けをするとスケジュール調整が必要になるため、日焼けをしないようにしましょう。
日焼けしたときの対処法
脱毛期間中に日焼けをしたときは、まずはクリニックに連絡して判断を仰ぎましょう。その上で、セルフケアをしながら肌の回復に努めるようにします。ここでは日焼けしたときの対処法を紹介します。
1.肌を冷やす
日焼けした肌はやけどに近い状態です。肌が熱を持っているため、炎症を抑えるためにも日焼けした部分を冷やしましょう。このとき、氷や冷水を直接当ててしまうと冷やしすぎる恐れがあり、かえって肌にダメージを与えてしまいます。そのため、タオルなどに包んでじんわりと冷やすようにしましょう。
また、日焼けをした日の入浴は、いつもよりも低めのお湯を使いましょう。肌が敏感になっているため、普段の温度では痛みを感じることがあります。
2.しっかり保湿する
日焼けをした肌はダメージを受けて乾燥しやすくなっています。日焼けをすると肌のバリア機能が低下して、炎症の治りを遅くしたり乾燥を加速させたり、シミそばかすなどの肌トラブルを招きやすくなるため、しっかり保湿をして肌をいたわることが大切です。
いつも使っている基礎化粧品で肌がピリピリするときは使用を控え、保湿成分のみを含んだ基礎化粧品に切り替えることも大切です。いつものスキンケアで肌トラブルが起こるときは皮膚科を受診しましょう。
3.ビタミンCを摂取する
美肌の代名詞として知られるビタミンCは日焼けによってダメージを受けた肌の回復を助けてくれます。ビタミンCは抗酸化作用があり、メラニンの生成を抑えてくれるのが特徴です。
ビタミンCを多く含む果物やサプリメントを摂取するほか、肌の炎症が落ち着いたらビタミンCを含有した基礎化粧品を使用するのもおすすめです。
日焼けの予防法
医療脱毛をしているときは、日焼けをしないようにアイテムなどを使って対策しましょう。効果的なアイテムとして代表的なものに日焼け止めがありますが、日焼け止めも正しく使用しなければその効果は半減してしまいます。
日焼け止めはSPFが高いものを選べばいいというわけではありません。数値が高いものを一度塗るよりも、外出場所にあわせて数値を選びこまめに塗りなおす方が、日焼けを防ぐことができます。効果を保つためには2〜3時間おきや汗をかいたあとなどにつけなおしましょう。
その上で、帽子やラッシュガード、サングラス、日傘を使って日焼け対策をするとより効果的です。とくに腕や足は日焼け対策が不十分になることがあるため、長袖・長ズボンを上手に活用しましょう。日差しが強い時間帯は外出を控えるなど、医療脱毛中の対策を徹底してください。
まとめ
日焼けした肌にレーザーを照射すると痛みややけどのリスクが高くなります。そのため、日焼けをしてしまうと場合によっては医療脱毛を受けることができません。
元の肌の色に戻るまでには2~3か月程度かかるため、その間は施術を休まなければならなくならず、スケジュールがずれると追加の費用がかかる場合もあります。脱毛期間中はいつも以上に日焼け対策をして、スムーズに医療脱毛を進めましょう。
記事監修者
JSKINクリニック医師 牧野潤
慶應義塾大学医学部卒業。形成外科医。シンガポール国立大学病院留学。医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域で従事。
慶應義塾大学病院、埼玉医科大学総合医療センター等勤務を経て、現在は慶應義塾大学医学部 特任助教。
大学病院での臨床・研究と並行し、レーザー・注入施術などの美容医療に特化した「JSKINクリニック」を2021年より経営・監修。