頭痛や肩凝りなどの症状でお悩みではありませんか。つらい症状が長く続いているのなら、眼瞼下垂が原因なのかもしれません。眼瞼下垂が原因となる頭痛を解消するには、治療が必要です。
本記事では、眼瞼下垂で頭痛が起きる原因や解消方法などをわかりやすく紹介します。つらい頭痛を解消するための参考として、ぜひ記事の内容をご覧ください。
眼瞼下垂で頭痛が起こるのはなぜ?

眼瞼下垂になると頭痛や肩凝りなどの症状が起こるのは、代償作用が原因です。
代償作用とは、身体の器官が何らかの障害を受けたとき、ほかの部分が働きを代行する作用をいいます。
眼瞼下垂になると、まぶたが垂れ下がってしまい、うまく見えません。
すると、身体が無意識のうちに眼瞼挙筋を強く働かせたり眉毛を上げたりして、視野を広げようとします。
その代償作用として目が疲れたり姿勢が不自然になったりするため、頭痛が起こる仕組みです。
頭痛を解消するには、原因となっている眼瞼下垂を治療する必要があります。
頭痛につながる2つの原因について、それぞれくわしく見てみましょう。
目が疲れるため
眼瞼下垂で頭痛が起こる大きな原因として考えられるのが、目の疲れです。
視野を広げようとまぶたを見開くと眉毛が上がって、前頭筋が過度に緊張します。
まぶたを見開いたり眉毛を上げたりする動作は、無意識のうちに行われているものです。
そのため、本人は自覚がないまま目が疲れてしまい、頭痛を引き起こします。
姿勢が不自然になるため
不自然な姿勢も、眼瞼下垂による頭痛を引き起こす原因のひとつです。
眼瞼下垂になると、よく見ようとして無意識のうちに首や顎を前に出してしまう場合があります。
また、眼瞼下垂で、顎を上げて物を見るようになった人も多いでしょう。
まぶたが下がったために姿勢が不自然になると、首や背中の筋肉が緊張して、頭痛を引き起こします。
眼瞼下垂とは?

そもそも眼瞼下垂とはどのようなものなのか、くわしく知らないというかたも多いでしょう。
眼瞼下垂とは、まぶたが垂れ下がって視野が狭くなり、見えにくくなる病気のことです。
初期の眼瞼下垂には自覚症状がほとんどないため、まったく気づかずに過ごしている人も多く見られます。
しかし、眼瞼下垂は進行する病気です。
症状が進んでくると見えにくくなり始め、頭痛や肩凝りなどの症状が出る場合もあります。
眼瞼下垂が起こる代表的な原因

眼瞼下垂が起こる代表的な原因も見ていきましょう。
代表的な原因には次のようなものがあります。
- 加齢
- 先天性(生まれつき)
- 外傷や目の手術
- 病気
- まぶたへの負担
原因についてもそれぞれ紹介します。
加齢
眼瞼下垂でもっとも多い原因が、加齢です。
年齢を重ねると筋肉や皮膚が変化してしまい、眼瞼下垂を引き起こします。
外傷や病気などを除くと、眼瞼下垂は10~30代の発症が少ないです。
先天性(生まれつき)
生まれつきの筋肉の弱さや神経の不具合も、眼瞼下垂の原因です。
ただし、先天性の眼瞼下垂は、くわしいメカニズムが明らかになっていません。
先天性の眼瞼下垂は弱視につながる場合もあるため、注意が必要です。
外傷や目の手術
まぶたの怪我や目の手術などが原因で、一時的な眼瞼下垂になる場合もあります。
怪我や手術が原因の眼瞼下垂では、腫れが引くと眼瞼下垂の症状も改善する可能性が高いでしょう。
筋肉や神経などの損傷があると、眼瞼下垂の症状が残ってしまいます。
病気
脳梗塞・脳動脈瘤・糖尿病などの病気も、眼瞼下垂を引き起こす原因のひとつです。
通常、眼瞼下垂は時間をかけて症状が進んでいくものですが、いきなり片側だけまぶたが開きにくくなることもあります。
病気が原因で急に眼瞼下垂になったなら、治療を受けなくてはなりません。
重篤な病気の可能性もあるため、急な片側だけの眼瞼下垂に気づいたら、医療機関を受診してください。
まぶたへの負担
まぶたへの負担も、眼瞼下垂になる原因です。
具体的には、次のようなものが考えられます。
- ハードコンタクトレンズの使用
- まつ毛のりやまつ毛エクステなどの使用
- 洗顔やスキンケアによる刺激
長年ハードコンタクトレンズを使っているかたは、眼瞼下垂になりやすい傾向があります。
まつ毛のり・まつ毛エクステなどによる負担にも注意が必要です。
該当するかたは、目やまぶたなどを休ませる日を作りましょう。
洗顔やスキンケアなどで強く擦ってしまうのも、まぶたにとっては負担です。
肌のお手入れをする際は、目やまぶたを擦らないよう、注意しましょう。
眼瞼下垂の治療方法

眼瞼下垂の治療では、手術が必要です。治療は、形成外科・眼科・美容外科などで受けられます。目の病気も考えられるため、症状に気づいたら、まず眼科を受診してみましょう。
機能面で支障が出ている眼瞼下垂であれば、保険適用での治療が可能です。機能面で問題がなく、美容を目的に治療を受ける場合は、自費診療となります。見た目も整えたいとお考えの場合は、自費診療を受けることも検討してみましょう。
眼瞼下垂の手術には次のような種類があります。
- 挙筋前転術
- 埋没式挙筋短縮法
- 余剰皮膚切除術
3つの方法について、それぞれ簡単に解説します。
挙筋前転術
眼瞼下垂の治療で広く行われている手術が「挙筋前転術」です。「挙筋前転術」では、上まぶたの二重のライン上を切開して、伸びた挙筋を前方に縫い付けて固定します。
挙筋とは、目を開けるために使われる筋肉です。挙筋と瞼板を縫い付けて固定して、目の開きを大きくします。
手術後は腫れやむくみなどの症状が出るものの、1~2週間ほどで落ち着くでしょう。
埋没式挙筋短縮法
眼瞼下垂では「埋没式挙筋短縮法」と呼ばれる手術が行われる場合もあります。埋没式挙筋短縮法とは、細い糸で挙筋を結びつける方法です。
切開がないため、埋没式挙筋短縮法は手術痕が目立たず、ダウンタイムも短めになります。ただし、重度の眼瞼下垂には不向きな方法です。
余剰皮膚切除術
「余剰皮膚切除術」は、眼瞼下垂に似た「偽性眼瞼下垂」の治療で行われます。まぶたの上の皮膚がたるんでいる状態が、偽性眼瞼下垂です。
偽性眼瞼下垂の場合は、筋肉を縫い付けなくても、皮膚のたるみを切除するだけで改善します。
眼瞼下垂による頭痛は自然に治る?

残念ながら、眼瞼下垂による頭痛は、自然には治りません。治療をせずにそのまま放置していると、眼瞼下垂による頭痛も続くことになってしまいます。
眼瞼下垂が原因の頭痛や肩凝りなどの症状に悩まされているのなら、治療を検討しましょう。
早期の段階なら、手術によって身体にかかる負担も少なめです。手術で治療すると、頭痛・肩凝りなどの症状も緩和に期待できます。
眼瞼下垂による頭痛は治療で改善できる可能性がある!
原因不明の頭痛や肩凝りが続いているのなら、眼瞼下垂が原因なのかもしれません。眼瞼下垂が原因の頭痛や肩凝りであれば、治療を受けると改善できる可能性があります。
放置していると次第に悪化してしまう病気であるため、眼瞼下垂には注意が必要です。
- まぶたが開かない
- 視野が狭くなった
そのような症状に気づいたら、まずはクリニックを受診してみましょう。
見た目も気になっている場合は、美容外科で施術を受けるのもおすすめの方法です。適した治療方法は状態によって違ってきますので、まずはクリニックで相談してみてくださいね。
記事監修者
JSKINクリニック医師 牧野潤

慶應義塾大学医学部卒業。形成外科医。シンガポール国立大学病院留学。医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域で従事。
慶應義塾大学病院、埼玉医科大学総合医療センター等勤務を経て、現在は慶應義塾大学医学部 特任助教。
大学病院での臨床・研究と並行し、レーザー・注入施術などの美容医療に特化した「JSKINクリニック」を2021年より経営・監修。