眼瞼下垂の手術では、入院が必要になるのでしょうか。治療して症状を改善したいものの、入院は避けたいと思われるかたも多いでしょう。また、自宅での療養が難しいかたもいらっしゃいますよね。
本記事では、眼瞼下垂手術で入院が必要になるかについて紹介します。種類や費用の目安なども紹介しますので、手術を検討するにあたっての参考として、ぜひ内容をご覧ください。
眼瞼下垂の手術は入院が必要?

眼瞼下垂の手術で入院が必要になるかは、人によって違います。クリニックによっては、日帰りの手術も可能です。ただし、短期入院を推奨するクリニックもあります。また、原則として日帰り入院を行っているクリニックでも、入院が必要になる場合もあるでしょう。
眼瞼下垂の手術で入院が必要になりうるのは、次のようなかたです。
- 介護が必要な高齢のかた
- 抗血小板薬・抗凝固薬などを使用しているかた
- 子ども
子どもの眼瞼下垂手術では、全身麻酔で2泊3日の入院を行う場合もあります。
くわしくは、手術を受ける前にクリニックで確認してみましょう。
眼瞼下垂の手術について

眼瞼下垂の治療では、手術が必要です。手術について、種類や入院日数、費用などを紹介します。
眼瞼下垂手術の種類
眼瞼下垂の手術には、次のような種類があります。
- 挙筋前転術
- 余剰皮膚切除術
- 前頭筋吊り上げ術
- 埋没式挙筋短縮法
手術の内容について、どのようなものか概要を見てみましょう。
挙筋前転術
まぶたの縦方向の開きを調整する手術が、挙筋前転術です。挙筋前転術では、二重の線で上まぶたの皮膚を切開して腱膜や筋肉を前方に引っ張り、瞼板に縫いつけます。眼瞼下垂の治療で広く行われている一般的な手術が挙筋前転術です。術後には、一時的な腫れ・内出血・痛みなどの症状が出ます。
機能面の改善を目的とした眼瞼下垂手術は、健康保険の適用が可能です。美容目的での挙筋前転術は保険適用外となります。
余剰皮膚切除術
身体にある余分な皮膚を取り除く手術が、余剰皮膚切除術です。「偽眼瞼下垂」の治療では、余剰皮膚切除術を行う場合があります。
偽眼瞼下垂とは、筋肉や神経に問題がなく、まぶたの皮膚がたるんでいる状態です。筋肉や神経に問題がなければ、皮膚の切除だけで改善する可能性があるでしょう。また、余剰皮膚切除術と挙筋前転術を時期をあけて両方行う場合もあります。
前頭筋吊り上げ術
先天性眼瞼下垂や重度の眼瞼下垂に適した手術が、前頭筋吊り上げ術です。手術では、額の筋肉である前頭筋をまぶたにつなぎます。
前頭筋吊り上げ術は、眼瞼挙筋がほとんど機能しておらず、挙筋前転術による改善が見込めないような重度の眼瞼下垂に対して行われる手術です。大腿筋膜で瞼板と前頭筋を接続させると、まぶたを開けるようになります。
埋没式挙筋短縮法
「切らない眼瞼下垂手術」とも呼ばれる方法が、埋没式挙筋短縮法です。埋没式挙筋短縮法では、皮膚に穴を開け、眼瞼挙筋を糸で結んでまぶたを引き上げます。
切開をする方法と比べると、埋没式挙筋短縮法はダウンタイムが短めです。ダウンタイムの期間を短くしたいかたは、埋没式挙筋短縮法も検討してみましょう。
ただし、埋没式挙筋短縮法には保険が適用されません。埋没式挙筋短縮法は、軽度の眼瞼下垂に適している方法です。重度の眼瞼下垂では、糸が切れてしまうおそれがあります。
眼瞼下垂手術での入院日数
眼瞼下垂での入院日数は、クリニックによって違います。クリニックによっては日帰り入院が可能です。1泊2日のクリニックもあれば、3泊4日の入院を推奨するクリニックもあります。くわしくは、手術を受けるクリニックで確認してみてください。
眼瞼下垂手術にかかる費用
眼瞼下垂手術の費用は、保険適用かどうかで違います。機能面の改善を目的とした眼瞼下垂手術は、保険の適用が可能です。
保険適用での挙筋前転術は3割負担で約22,000円(片目)となり、そのほかに麻酔代や入院費などがかかります。美容目的の眼瞼下垂手術は保険適用外で、費用の目安は150,000~400,000円です。
手術前には、クリニックで費用を確認してみましょう。
眼瞼下垂手術でよくある質問

眼瞼下垂で治療への不安をお持ちのかたも多いでしょう。手術でよくある質問を紹介しますので、ぜひご覧ください。
手術は両側行うものですか?
眼瞼下垂で両側の手術を行う必要があるかは、症状によって違います。症状が出ているなら、左右差があっても両目の手術が必要になる場合もあるでしょう。症状が強く出ている目だけ手術する場合もあります。
くわしくは、クリニックで医師に相談してみてください。
手術にかかる時間はどのくらいですか?
眼瞼下垂の手術にかかる時間は、手術方法やクリニックの混雑状況などで変わってきます。
挙筋前転法の場合、両目で60~90分前後が一般的な目安です。手術後はしばらく安静にして、全身の状態に問題がなければ帰宅できます。
手術後に眼帯をする必要はありません。手術の当日はガーゼをあてますが、翌日はガーゼも不要です。
抜糸は何日後に行いますか?
眼瞼下垂手術の場合、抜糸は術後1週間程度で行われます。ただし、実際に抜糸を行うタイミングは、傷の状態次第です。体質的に、傷の治りに時間がかかるかたもいらっしゃるでしょう。傷のつきが十分でなければ、抜糸が延期される場合もあります。
手術以外の治療方法はありますか?
眼瞼下垂に効果的な薬や注射などはありません。根本的に治療するためには、手術が必要です。手術の種類は複数あり、症状によって適した方法は違います。
眼瞼下垂の手術は保険適用が可能ですか?
医師から眼瞼下垂と診断を受けた場合、手術には健康保険が適用される可能性があります。ただし、次のような場合は健康保険の適用外です。
- ごく軽度の眼瞼下垂での手術
- 美容目的の眼瞼下垂手術
状況によって変わりますので、まずはクリニックで相談してみましょう。
眼瞼下垂手術で目の印象は変わりますか?
手術を受けた直後は、腫れによって左右のバランスが悪く見える場合があります。また、術後1か月ごろになると、二重の線が強調されて見えることもあるでしょう。
腫れによる左右の違いは、2~3か月程度で落ち着きます。目立つ場所であるため、違いが大きいと気になってしまうかもしれません。
左右差が目立つ場合は、手術を受けたクリニックで医師に相談してみてください。状況によっては再手術が必要です。
なお、眼瞼下垂手術後の二重幅はj、手術前のデザインによってかわります。手術にあたって二重幅のデザインを最優先することを希望する場合は、保険は適用にならない可能性もあります。二重幅のデザインを希望する場合は、自由診療での手術を検討してみてください。
眼瞼下垂手術は日帰りも可能!

眼瞼下垂の手術は日帰りも可能です。ただし、年齢や身体の状態などによっては、入院が必要になるかもしれません。子どもの場合、入院して全身麻酔で手術をするクリニックもあります。両目の手術で生活に支障をきたす場合も、入院が推奨されるでしょう。
眼瞼下垂は、手術による治療が可能な病気です。「まぶたが開かず見えにくい」「眼瞼下垂で頭痛や肩凝りがある」といった場合は、手術で改善がめざせます。
日帰りでの手術を希望する場合は、まずクリニックで相談してみてくださいね。
記事監修者
JSKINクリニック医師 牧野潤

慶應義塾大学医学部卒業。形成外科医。シンガポール国立大学病院留学。医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域で従事。
慶應義塾大学病院、埼玉医科大学総合医療センター等勤務を経て、現在は慶應義塾大学医学部 特任助教。
大学病院での臨床・研究と並行し、レーザー・注入施術などの美容医療に特化した「JSKINクリニック」を2021年より経営・監修。