片目だけ眼瞼下垂になるのはなぜ?原因や手術費用の相場を紹介

まぶたが垂れ下がって見えにくくなってしまう病気が「眼瞼下垂(がんけんかすい)」です。眼瞼下垂では、両方のまぶたが同じように垂れ下がるとは限りません。片目だけが眼瞼下垂になってしまうパターンもあります。

それでは、片目だけ眼瞼下垂になるのはなぜなのでしょうか。

本記事では、片目だけ眼瞼下垂になる原因について紹介します。

手術費用の相場も紹介しますので、ぜひ参考として内容をご覧ください。

目次

片目だけ眼瞼下垂になる原因

いつのまにか片目だけ眼瞼下垂になって、気になっているかたも多いでしょう。片目だけの眼瞼下垂には、次のような原因が考えられます。

  • 先天性眼瞼下垂
  • ケガや手術
  • 病気
  • 普段の習慣やメイク
  • ストレスや疲労

ひとつずつ紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。

先天性眼瞼下垂

片目だけの眼瞼下垂で考えられる原因のひとつが、先天性(生まれつき)です。

生まれつきの眼瞼下垂は、先天性眼瞼下垂と呼ばれます。先天性眼瞼下垂のうち約8割が、片目だけまぶたが黒目を覆っている片眼性です。

生まれつき眼瞼下垂が起こるくわしいメカニズムは、まだ解明されていません。先天性眼瞼下垂は、筋肉の弱さや神経の不具合などが原因として考えられています。基本的には遺伝的な要素がなく、視覚機能にも問題が見られません。

ただし、先天性眼瞼下垂は視力の発達に悪い影響を及ぼす場合があるため、注意が必要です。一般的には3歳ごろまで様子を見て、必要に応じて手術を行います。

ケガや手術

ケガ・緑内障や白内障などの手術も、片目だけの眼瞼下垂で考えられる原因です。

目やまぶたを傷つけると筋肉や神経に影響して、まぶたが垂れ下がってしまうことがあります。

ケガ・手術が原因の眼瞼下垂では、腫れが落ち着くと症状が改善することが多いでしょう。筋肉や神経を損傷していると、眼瞼下垂の症状が残ってしまう場合があります。

普段の習慣やメイク

一般的な眼瞼下垂の多くは、加齢が原因です。

しかし、普段の習慣やメイクが原因となって、片目だけ眼瞼下垂になってしまう場合もあります。

  • まぶたへの刺激
  • 目の酷使
  • アイメイク

それぞれについて、どのようなものかチェックしてみましょう。

まぶたへの刺激

まぶたに慢性的な強い刺激を加えると、片目だけの眼瞼下垂を引き起こす場合があります。頻繁に目を擦るクセがあるかたは、特に注意が必要です。

花粉症やアレルギーなどによるかゆみがあり、つい目を強く擦ってしまうかたも多いでしょう。かゆみがあるなら皮膚科や眼科などで治療を受け、擦らないようにしてください。

目の酷使

目の酷使も、片目だけの眼瞼下垂で多い原因のひとつです。目やまぶたの筋肉に負担がかかると、眼瞼下垂を起こしやすくなってしまいます。

次のような状態なら、注意が必要です。

  • PCやスマートフォンを長時間使っている
  • 毎日コンタクトレンズを装着している

仕事や趣味などでPC・スマートフォンを使う時間が長いかたは、適度な休憩をとって目を休めましょう。

毎日コンタクトレンズを使っているのなら、眼鏡で過ごす日を作る方法がおすすめです。また、コンタクトレンズは装着時間を守りましょう。

アイメイク

アイメイクが片目だけの眼瞼下垂につながる場合もあります。

特に気をつけたいのが、次のようなメイクです。

  • 二重のり・二重テープ
  • つけまつ毛
  • ウォータープルーフのアイメイク

二重のり・二重テープが眼瞼下垂の原因となるのは、まぶたの皮膚を引っ張る仕組みであるためです。

つけまつ毛やウォータープルーフのアイメイクは、落とすときまぶたの筋肉に負担がかかります。

二重のり・二重テープ・つけまつ毛は、なるべく使用する頻度を減らしましょう。

ウォータープルーフのアイメイクを落とすときは、力を入れて擦らないよう注意してください。

ストレスや疲労

過度のストレスや疲労も、片目だけの眼瞼下垂につながると考えられています。

まぶたを支えているのは、自律神経につながるミュラー筋です。継続的に強いストレスや疲労があると、ミュラー筋が緊張して、眼瞼下垂になる可能性があります。

ストレスが溜まっているようなら、解消を考えましょう。目を休ませることも大切です。

急に片目だけ眼瞼下垂になったら要注意!

突然片目だけが眼瞼下垂になったら、注意が必要です。

加齢や習慣などが原因の眼瞼下垂は、症状がゆっくりと進んでいきます。

急に片目だけ眼瞼下垂になる場合に考えられる原因が、次のような病気です。

  • 脳梗塞
  • 脳動脈瘤
  • 重症筋無力症
  • ミトコンドリア脳筋症
  • ホルネル症候群

放置していると命にかかわる病気もあります。急に「片目だけまぶたが開かない」「片目だけ視野が狭い」といった症状が出たら、早急に眼科を受診してください。

片目だけでも眼瞼下垂は手術できる?

眼瞼下垂では、症状が出ている片目だけの手術が可能です。

ただし、片目だけ手術した場合、両目の開き具合に一時的な差が出ます。なるべく左右差を出したくないのなら、両目の手術を受けることも検討してみましょう。

症状が軽いだけで、もう片方の目も眼瞼下垂だというケースもあります。手術を受ける場合は、まず医師に相談してみてください。

眼瞼下垂の手術費用の相場

基本的に、眼瞼下垂の治療では手術を行います。手術にあたって、費用が気になるかたも多いでしょう。

保険診療・自由診療にわけて、手術費用の相場を紹介します。

保険診療の手術費用の相場

保険診療の場合、手術費用は全国一律で、どの病院で受けても同じです。

  • 挙筋前転術……約22,000円(片目)
  • 筋膜移植……約55,000円(片目)

ほかに、初診料・診察料・検査代・麻酔代などが必要です。

保険適用の場合、金額によっては高額療養費の対象となり、自己負担限度額が変わります。

保険適用となるのは、眼瞼下垂によって機能面に問題が出ている場合です。美容目的での治療は健康保険の適用外となりますので、注意してください。

自由診療の手術費用の相場

自由診療の場合、眼瞼下垂の手術費用はクリニックによって違いがあります。相場は以下のとおりです。

  • 挙筋前転術……約300,000円(両目)
  • 眉下切開・眉上切開……約300,000円(両目)

金額は高くなるものの、自由診療なら左右のバランスが整えられるでしょう。

自由診療を希望する場合は、クリニックで金額や内容などを確認してください。

眼瞼下垂でよくある質問

眼瞼下垂についてよくある質問と答えも紹介します。お悩みを解消するためのヒントとして、ぜひチェックしてみてください。

眼瞼下垂は自力で治せますか?

残念ながら、眼瞼下垂は自力で治せません。インターネット上にはマッサージやトレーニングの方法を紹介しているページもあります。

しかし、マッサージやトレーニングの効果は医学的に証明されていません。マッサージやトレーニングでまぶたに負担がかかると、悪化するおそれもあります。別な病気の可能性も考えられるため、自力で治そうとせず、クリニックを受診してください。

眼瞼下垂は何科で相談できますか?

眼瞼下垂は形成外科・美容外科・眼科などで相談できます。特に片目だけのまぶたに症状が出ている場合は目の病気も考えられるため、まずは眼科で相談してみてください。

機能面での問題を改善するのなら、形成外科で手術を行っています。見た目の改善なら、美容外科で相談してみましょう。

手術後のダウンタイムはどのくらい続きますか?

挙筋前転術の場合、ダウンタイムの目安は約2週間です。

むくみ・腫れ・内出血のピークは術後2~3日で、時間をかけて落ち着いていきます。

眼瞼下垂を放置したらどうなりますか?

眼瞼下垂は自然には治らない病気で、放置していると悪化するおそれがあります。

片目だけの眼瞼下垂なら、左右の差が大きくなってしまうでしょう。

症状が気になり始めたら治療を検討してみてください。

片目だけの眼瞼下垂に気づいたらクリニックで相談

「まぶたが開かない」「視野が狭い」など片目だけの眼瞼下垂に気づいたら、クリニックで相談してみましょう。

急に片目だけ眼瞼下垂になった場合は脳梗塞や脳動脈瘤も考えられますので、すぐに受診してください。

片目だけの眼瞼下垂はバランスが悪く、見た目にも影響します。見た目の問題を改善したいなら、美容クリニックでの手術がおすすめです。放置していると悪化する可能性が高いため、まずは一度クリニックで相談してみてくださいね。

記事監修者

JSKINクリニック医師 牧野潤

慶應義塾大学医学部卒業。形成外科医。シンガポール国立大学病院留学。医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域で従事。
慶應義塾大学病院、埼玉医科大学総合医療センター等勤務を経て、現在は慶應義塾大学医学部 特任助教。
大学病院での臨床・研究と並行し、レーザー・注入施術などの美容医療に特化した「JSKINクリニック」を2021年より経営・監修。

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