眼瞼下垂の原因はハードコンタクトレンズ?なりやすい理由や治療方法

ハードコンタクトレンズを使っているかたは、眼瞼下垂に注意が必要です。「まぶたが重い」「上方が見づらい」と感じるなら、眼瞼下垂の症状なのかもしれません。気になる症状があるかたは、放置せずクリニックで相談してみましょう。

本記事では、眼瞼下垂とハードコンタクトレンズについて紹介します。参考として、ぜひ内容をチェックしてみてください。

目次

眼瞼下垂とは?

眼瞼下垂とは、何らかの理由でまぶたが下がって見えにくくなる病気です。

初期の眼瞼下垂は症状が少ないため、自分では気づかない場合があります。

眼瞼下垂が進むと出てくるのが、次のような症状です。

  • 目を見開くために無意識に眉毛が上がっている
  • 昔の写真と比べると、目が三角や小さくなっている気がする
  • 夕方以降になると頭痛や肩こりを感じやるい

頭痛や肩凝りはないものの、見た目の変化が気になるかたも多いでしょう。

ハードコンタクトレンズを使うと眼瞼下垂になりやすい?

コンタクトレンズが原因となる眼瞼下垂が増加しています。特に注意したいのが、ハードコンタクトレンズです。

長くハードコンタクトレンズを使っているかたは、眼瞼下垂のリスクが高いと報告されています。

ただし、「ソフトコンタクトレンズならまったくリスクがない」というわけではありません。まぶたに負担をかけ続けていると、眼瞼下垂を発症する可能性があります。

ハードコンタクトレンズを使うと眼瞼下垂になりやすい理由

なぜハードコンタクトレンズを使うと眼瞼下垂になりやすいのか、理由が気になるかたもいらっしゃるでしょう。おもな理由として考えられるのが、次の3つです。

  • まぶたの上げ下げで負荷がかかる
  • まぶたの筋肉や腱に負担がかかる
  • 炎症が起きる

理由についてひとつずつ解説します。

まぶたの上げ下げで負荷がかかる

ハードコンタクトレンズの使用が眼瞼下垂を引き起こすのは、レンズの厚みでまぶたに負荷がかかるためだと考えられています。

ソフトコンタクトレンズよりも眼瞼下垂になりやすいのは、ハードコンタクトレンズが硬くて厚いためです。

慣れてしまうと、コンタクトレンズの硬さや厚みは気にならなくなるでしょう。それでも、装着した状態で瞬きを繰り返すと、まぶたを内側から圧迫してしまいます。

まぶたの筋肉や腱に負担がかかる

まぶたを引き上げるための筋肉や腱に負担がかかることも、ハードコンタクトレンズが眼瞼下垂を引き起こすと考えられる理由のひとつです。

コンタクトの装着時は、まぶたを引き上げなくてはなりません。まぶたを引き上げようとする動作は、筋肉に負担をかけてしまいます。

炎症が起きる

ハードコンタクトレンズが眼瞼下垂につながるのは、炎症が起きるためだとも考えられています。炎症が起きるのは次のような理由からです。

  • 目のなかに異物を入れるため
  • 不衛生なコンタクトレンズを使ったため
  • 清潔ではない手で触れたため

ハードコンタクトレンズの寿命は2~3年です。長く使えるものの、お手入れが不適切だと炎症につながってしまいます。

ハードコンタクトレンズによる眼瞼下垂を防ぐ方法

加齢が原因の眼瞼下垂は予防方法がありません。

しかし、ハードコンタクトレンズが原因の眼瞼下垂は防げる可能性があります。

おもな方法は以下のとおりです。

  • コンタクトレンズの装着時に専用のスポイトを使う
  • ソフトコンタクトレンズに切り替える
  • ワンデーのコンタクトレンズを使用する
  • 目やまぶたを休ませる

4つの方法について解説します。

コンタクトレンズを外すときに専用のスポイトを使う

眼瞼下垂を防ぐために、ハードコンタクトレンズを外すときは専用のスポイトを使いましょう。

専用のスポイトを使うと、次のようなメリットがあります。

  • まぶたを何度も触らずにコンタクトレンズを外せる
  • 化粧品の汚れが付着しない

まぶたに触る回数が多いと、どうしても負担がかかってしまいます。また、化粧品による汚れが付着すると、炎症を起こしてしまうかもしれません。

スポイトを活用すると、まぶたを触る回数を減らせて、炎症のリスクも減らせます。

ソフトコンタクトレンズに切り替える

可能なら、ソフトコンタクトレンズに切り替えるのも予防方法のひとつです。

ソフトコンタクトレンズならやわらかくて薄いため、まぶたの筋肉への負担を減らせます。

ハードコンタクトレンズよりも割高にはなるものの、予防方法としては効果的です。

ワンデーのソフトコンタクトレンズを使用する

炎症が起きないよう、ワンデーのソフトコンタクトレンズを使う方法もあります。

ハードコンタクトレンズは繰り返し使えて便利です。しかし、お手入れの方法によっては不衛生な状態となってしまいます。清潔ではないコンタクトレンズは炎症を引き起こすおそれがあるため、注意しなくてはなりません。

ワンデーのソフトコンタクトレンズなら使い捨てであるため、お手入れが不要です。

目やまぶたを休ませる

ハード・ソフトとも、コンタクトレンズを使い続けているかたは、目やまぶたを休ませることも大切です。

視力がよくても、おしゃれとしてカラーコンタクトレンズを楽しんでいるかたも多いでしょう。

毎日コンタクトレンズを使っていると、どうしても目やまぶたへの負担が大きくなります。可能なら使用回数を減らして、目やまぶたを休ませる時間を作りましょう。

ハードコンタクトレンズ以外の眼瞼下垂を引き起こす原因

眼瞼下垂を引き起こす原因は、ハードコンタクトレンズだけではありません。ほかにも、以下のような原因があります。

  • 加齢
  • 先天性(生まれつき)
  • 外傷
  • 病気

ハードコンタクトレンズ以外の原因も、どのようなものか見てみましょう。

加齢

眼瞼下垂の9割は加齢による皮膚のたるみや筋肉の緩みが原因です。加齢による眼瞼下垂は、老人性眼瞼下垂とも呼ばれます。

10~30代なら、基本的に老人性眼瞼下垂の心配はありません。40代以降に見られますが、おもに60歳以降に発症します。

先天性(生まれつき)

生まれつきの眼瞼下垂が、先天性眼瞼下垂です。先天性眼瞼下垂は、おもに次のような理由で起こります。

  • 生まれつきまぶたの筋肉が弱い
  • 神経に不具合がある

生まれつきの眼瞼下垂は視力にも影響を及ぼすため、治療が必要です。状態をみながら、慎重に手術時期と術式を検討する必要があります。

外傷

外傷も、眼瞼下垂を引き起こす原因のひとつです。外傷による眼瞼下垂は「外傷性眼瞼下垂」と呼ばれ、次のようなパターンが考えられます。

  • 交通事故などによるケガ
  • 緑内障や白内障などによる手術

上まぶたに傷を負うと、出血やむくみでまぶたが腫れて開かなくなります。腫れが引くと眼瞼下垂も改善するでしょう。ただしまぶたをあげる筋肉や神経などに損傷が及ぶと、手術による治療が必要となることがあります。

病気

まぶた以外の病気が原因の眼瞼下垂もあります。眼瞼下垂を引き起こすのは、次のような病気です。

  • 脳梗塞
  • 脳動脈瘤
  • 重症筋無力症
  • ミトコンドリア脳筋症

病気が原因で眼瞼下垂になっている場合は治療が必要です。

眼瞼下垂の治療方法

眼瞼下垂を治療するためには、炭酸ガスレーザーなどを使った手術が必要です。

局所麻酔によって、手術中の痛みはほとんどありません。

手術自体は短時間で、両目でも60-90分程度です。日帰り手術となりますが、場合により入院を推奨されることもあります。

「まぶたが重くて視野が狭い」など、機能面で支障が出ている場合は、形成外科や眼科などでの治療となり、保険適用となることがあります。

機能的な問題がなく美容的に手術を希望する場合は、自費診療となりますが美容外科で治療が受けられます。

眼瞼下垂の手術後にコンタクトレンズを使っても大丈夫?

手術後しばらくのあいだはコンタクトレンズが使えません。

期間は、どのような手術をするかによって違ってきます。目安は1週間~1か月です。

早い段階でコンタクトレンズの使用を再開してしまうと、傷口の治りが遅くなってしまいます。また、眼瞼下垂の再発につながってしまうおそれもあるため、注意が必要です。

視力が悪いかたは、手術後しばらくは眼鏡を使いましょう。コンタクトレンズの使用を再開したいかたは、医師に相談してみてください。

ハードコンタクトレンズなら眼瞼下垂に注意が必要

若い頃からハードコンタクトレンズを使い続けているかたは、眼瞼下垂に注意が必要です。

目の病気も考えられるため、「まぶたが重い」「まぶたが開かない」などの症状が出たら、まずは眼科を受診してみましょう。見た目を改善したいのなら、美容外科での手術がおすすめです。

眼瞼下垂は放置していると悪化する可能性があります。気になる症状があるときは、一度クリニックで相談してみてくださいね。

記事監修者

JSKINクリニック医師 牧野潤

慶應義塾大学医学部卒業。形成外科医。シンガポール国立大学病院留学。医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域で従事。
慶應義塾大学病院、埼玉医科大学総合医療センター等勤務を経て、現在は慶應義塾大学医学部 特任助教。
大学病院での臨床・研究と並行し、レーザー・注入施術などの美容医療に特化した「JSKINクリニック」を2021年より経営・監修。

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