眼瞼下垂手術と二重整形にはどのような違いがあるのでしょうか。目を開けてもまぶたが上がらなくなる状態を眼瞼下垂といいます。治療を検討していて、眼瞼下垂手術と二重整形の違いに興味をお持ちのかたもいらっしゃるでしょう。
本記事では、眼瞼下垂手術と二重整形の違いをわかりやすく解説します。手術費用の相場も紹介しますので、治療を検討するにあたっての参考としてご覧ください。
眼瞼下垂とは?
眼瞼下垂とは、まぶたが下がってしまい、見えづらくなってしまう病気のことです。
生まれつきの眼瞼下垂もありますが、多くは加齢が原因となって発症します。
眼瞼下垂で見られるおもな症状は次のようなものです。
- まぶたを開きにくい
- 眉をあげて目を開けている
- 視野が狭くなる
- 額にシワが寄る
- 眠そうに見える
初期のうちは目立つ症状が少ないため、眼瞼下垂だと気づいていないかたも多いでしょう。症状が進むと、肩凝りや頭痛などの症状を起こす場合もあります。
眼瞼下垂は自然には治らないため、改善するには手術が必要です。進行した眼瞼下垂の手術には高度な技術が求められ、リスクも大きくなってしまいます。そのため、眼瞼下垂に気づいたら、なるべく早い段階での治療を検討してみましょう。
眼瞼下垂になるとまぶたはどうなる?
眼瞼下垂になると、まぶたには次のような変化が見られます。
- 一重や奥二重から二重になる
- 二重の幅が広くなる
- 二重が三重や四重になる
一重や奥二重のかたは、眼瞼下垂になると二重になります。もともと二重のかたは、幅が広くなっていくのが眼瞼下垂の特徴です。三重・四重などになるパターンもあります。
二重になったり幅が広くなったりするのは、眼瞼下垂になるとまぶたが上がらなくなるためです。
目を開こうと無意識のうちに額を動かすため、症状が進むとさらに二重の幅が広がっていきます。
眼瞼下垂の手術をすると二重はどうなる?
眼瞼下垂の手術を受けると、基本的に二重幅は狭くなります。
なぜなら、手術によって眉毛の位置が下がってまぶたが上がるためです。
手術後に二重の幅が狭くなったのなら、適切な状態だといえるでしょう。しかし、保険適用の手術後に、「二重の幅が気に入らない」と感じるかたもいらっしゃいます。
保険適用の手術は治療が目的であるため、理想の二重を作ることはできません。だからといって、何度もまぶたの手術を受けると、まぶたに負担がかかってしまいます。
二重のかたちや幅などが気になる場合は、美容クリニックでの相談を検討してみてください。自由診療なら、見た目を考慮した手術が受けられます。
眼瞼下垂手術と二重整形の違い
「二重整形で眼瞼下垂が治る」との説を聞き、興味を持つかたもいらっしゃるようです。
確かに、施術の方法によっては、軽度の眼瞼下垂が二重整形で改善される場合もあります。
しかし、眼瞼下垂手術と二重整形は基本的に別物です。
違いを知るために、それぞれの特徴がどのようなものか紹介します。
眼瞼下垂手術とは?
眼瞼下垂の手術には、いくつか種類があります。
- 挙筋前転術
- 埋没式挙筋短縮法
2つの方法について、それぞれ見ていきましょう。
挙筋前転術
眼瞼下垂の治療で一般的に行われているのが、「挙筋前転術」と呼ばれている手術です。挙筋前転術では、二重の線をメスで切除して、伸びた筋を前方に縫い付けて固定します。伸びた筋を縫い付けて固定することによって、筋肉と瞼板が密着するという仕組みです。
手術後のダウンタイムでは腫れやむくみが1~2週間続きますが、時間が経つにつれて落ち着いていきます。傷口の赤みは3~6か月ほどで改善するでしょう。
埋没式挙筋短縮法
眼瞼下垂の手術には、「埋没式挙筋短縮法」と呼ばれる方法もあります。埋没式挙筋短縮法とは、細い糸を使って挙筋を結びつける方法です。
切開をしないため、埋没式挙筋短縮法は手術痕が目立ちません。ただし、埋没式挙筋短縮法は重度の眼瞼下垂には不向きです。
何らかの理由で糸が外れると、まぶたがもとに戻ってしまいます。埋没式挙筋短縮法は挙筋前転術よりも、ダウンタイムが短めです。腫れや赤みは1週間ほどで落ち着き、1か月前後で自然な目元になるでしょう。
二重整形とは?
美容整形のなかでも特に人気の施術が、二重整形です。
「両方とも一重」「一重と奥二重」など、人によってまぶたには違いがあります。一重で、二重整形を検討した経験を持つかたも多いでしょう。
理想に合わせ、好みの幅やかたちの二重を作るのが二重整形です。二重整形には、次の2つの方法があります。
- 埋没法
- 切開法
二重整形についても種類ごとに見ていきましょう。
埋没法
医療用の糸と針を使い、上まぶたの内側を縫い留めて二重のラインを作る方法が、埋没法です。埋没法の場合、10~15分程度で二重が作れます。
短時間で終わり、ダウンタイムも短いことが、埋没法の大きな魅力です。埋没法では、糸を取り除くともとのまぶたに戻せます。
切開法
まぶたの皮膚を切開して戻りにくい二重を作る方法が、切開法です。切開法には「全切開法」と「部分切開法」の2種類があります。
埋没法と違って、切開法ではもとのまぶたには戻せません。埋没法よりもダウンタイムは長くなるものの、切開法ならくっきりとした二重が作れます。
眼瞼下垂手術と二重整形の費用相場
眼瞼下垂手術と二重整形では、かかる費用にも違いがあります。費用を抑えられるのは、保険適用で受ける眼瞼下垂手術です。眼瞼下垂手術と二重整形の費用相場もチェックしてみましょう。
眼瞼下垂手術にかかる費用の相場
眼瞼下垂手術にかかる費用は、保険適用になるかどうかで大きく変わってきます。
機能面で問題がある眼瞼下垂の手術は保険適用が可能です。保険適用の挙筋前転術は片目で約22,000円となり、別途麻酔代などがかかります。
審美目的での手術は保険適用外で全額自己負担です。費用は方法やクリニックによって違い、150,000~400,000円が目安となります。切開をしない埋没式挙筋短縮法は、保険適用外です。
二重整形にかかる費用の相場
基本的に、二重整形は美容目的となり保険適用外です。どのくらいの費用がかかるかは、施術の種類やクリニックなどによって変わってきます。
二重整形の一般的な相場は以下のとおりです。
- 埋没法……50,000~200,000円
- 切開法……200,000~300,000円
金額を抑えられるのは、糸と針を使う埋没法です。埋没法も、糸を留める数などで金額に違いが出ます。くわしい金額は、施術を行っているクリニックでの確認が必要です。
なお、重度の眼瞼下垂や逆さまつ毛などで、二重整形に保険が適用される場合もあります。ただし、保険適用の手術では二重の幅やかたちが選べません。見た目の改善を目的としている場合は、保険適用外の二重整形がおすすめです。
眼瞼下垂手術と二重整形は同時施術も可能
まぶたが開かない状態の治療を目的として行うのが眼瞼下垂手術です。
基本的に、眼瞼下垂の手術は審美目的ではないため、希望どおりの二重は作れません。
ただし、自由診療なら眼瞼下垂手術と二重整形を同時に受けられます。ふたつの施術を併用すると、眼瞼下垂を治療しつつ、理想の目元をめざせるでしょう。また、何度も手術を受ける必要がないため、まぶたにかかる負担の軽減が可能です。
同時施術ができるかどうかは、まぶたの状態や眼瞼下垂手術の方法によります。眼瞼下垂を治療しつつ二重を整えたい場合は、まずクリニックで相談してみてください。
二重の幅が広がったら眼瞼下垂の可能性がある
- 二重の幅が広がってきた
- 一重だったのに二重になった
まぶたに上記のような変化が見られたら、眼瞼下垂の可能性が考えられます。眼瞼下垂の治療をするなら、基本的には手術が必要です。
機能面での問題がある眼瞼下垂なら、保険適用で手術が受けられます。ただし、希望によっては保険適用外の治療が適しているかもしれません。
眼瞼下垂は放置していると悪化していきます。まぶたに変化があって気になるときは、まずはクリニックで相談してみてくださいね。
記事監修者
JSKINクリニック医師 牧野潤
慶應義塾大学医学部卒業。形成外科医。シンガポール国立大学病院留学。医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域で従事。
慶應義塾大学病院、埼玉医科大学総合医療センター等勤務を経て、現在は慶應義塾大学医学部 特任助教。
大学病院での臨床・研究と並行し、レーザー・注入施術などの美容医療に特化した「JSKINクリニック」を2021年より経営・監修。