首のイボを除去したいとお考えではありませんか。衣類で隠せない場所であるため、除去を検討しているかたもいらっしゃいますよね。
首のイボは、種類によって適した治療方法が違います。そこで、まずはどのような種類があるのかチェックしてみましょう。
本記事では、首にできる可能性があるイボにはどのようなものがあるか、種類を紹介します。
首にイボができる原因やクリニックでの治療方法なども紹介しますので、ぜひご覧ください。
首にできるイボの種類と原因
イボを原因別で大きくわけると、次の2種類です。
- 非ウイルス性のイボ
- ウイルス性のイボ
原因別に、どのようなイボがあるのかチェックしてみましょう。
非ウイルス性のイボ
紫外線や肌の老化が原因となって引き起こされるのが、非ウイルス性のイボです。基本的に、首のイボは非ウイルス性のものが多いといわれています。非ウイルス性のイボはうつりません。
非ウイルス性のイボを大きくわけると、次の2種類です。
- アクロコルドン・スキンタッグ・軟性線維腫
- 脂漏性角化症(老人性イボ)
2つのイボについて、どのようなものか特徴を紹介します。
アクロコルドン・スキンタッグ・軟性線維腫
首にできるイボの多くは、非ウイルス性のイボである「アクロコルドン」「スキンタッグ」「軟性線維腫」です。
いずれも良性の皮膚腫瘍で、摩擦・紫外線・肌の老化が原因で発生します。
種類 | 大きさ | 特徴 |
---|---|---|
アクロコルドン | 1~2ミリ | 円形であまり隆起していない |
スキンタッグ | 1~5ミリ | 隆起している |
軟性線維腫 | 5ミリ以上 | 皮膚の表面から飛び出ている |
大きさ・かたちなどで呼びわけられているものの、医学的に大きな違いはありません。中年になると発生するイボですが、体質によって20代から出るかたもいます。
いずれも良性であるため、様子に変化がなければ放置していても問題ありません。ただし、首に出ると目立つため、気になってしまうかたが多いでしょう。
脂漏性角化症
老人性イボとも呼ばれるのが、イボ状の良性腫瘍である「脂漏性角化症」です。老人性といっても、早ければ20代くらいから出現します。
脂漏性角化症が出やすいのは、頭・顔・首など紫外線があたりやすい場所です。おもな原因は紫外線や加齢による肌の老化で、基本的に痛みやかゆみなどはありません。ただし、大きくなるときにかゆみを感じる場合があります。
色は褐色または黒色です。大きさは数ミリから3センチまでくらいが多く、やや盛り上がっています。
ウイルス性ではないため、脂漏性角化症もうつりません。気にならない場合は、除去せず放置しても大丈夫です。
ウイルス性のイボ
首に出るイボの多くは非ウイルス性です。
ただし、次のようなウイルス性のイボが出る可能性もあります。
- 尋常性疣贅
- 水イボ
ウイルス性のイボについても、どのようなものかチェックしてみましょう。
尋常性疣贅
誰にでも出る一般的な硬いイボが「尋常性疣贅」です。尋常性疣贅は、表面がザラザラしています。多くは1センチ未満で、色は灰色・黄色・褐色などです。
ウイルス性であるため、尋常性疣贅は周囲の皮膚にうつる可能性があります。ただし、感染力は弱く、他人にはうつりません。
尋常性疣贅を引き起こすのが、ヒトパピローマウイルスです。皮膚にある小さな傷からウイルスが入り込み、数か月かけてイボが作られます。
水イボ
1~7歳の子どもに多いイボが、「伝染性軟属腫(水イボ)」です。ドーム状になっていて、中央には小さなくぼみがあります。伝染性軟属腫を引き起こすのが、感染力の高い伝染性軟属腫ウイルスです。
大きさは2~5ミリほどでかゆみがあり、搔き壊すと周囲の皮膚にうつってしまいます。スポンジやタオルなどの共有でうつりやすいことも、伝染性軟属腫の特徴です。
感染力は高いものの、伝染性軟属腫の多くは1年以内で自然に治ります。
首のイボを自分で取るのがNGな理由
首のイボが不快で、自分で取ろうと考えているかたも多いのではないでしょうか。自分で除去できたら費用を抑えられますよね。
しかし、以下の理由から、首のイボを自分で取るのはNGです。
- 適切な治療をしないと悪化のおそれがあるため
- 安全性が確認されていない市販薬もあるため
2つの理由についてそれぞれ解説しますので、チェックしてみてください。
適切な治療をしないと悪化のおそれがあるため
イボは、種類によって適切な治療が違います。
そもそも、似ているだけでイボではないできものかもしれません。悪性の皮膚腫瘍だった場合、取ろうとした刺激で悪化するおそれもあります。
そのため、イボの除去を検討しているのなら、まず医師による診断が必要です。悪化させないように、イボはクリニックで適切な治療を受けましょう。
安全性が確認されていない市販薬もあるため
イボ・ほくろの除去では、安全性が確認されていない市販薬もあります。特に気をつけたいのが、海外製の商品です。
インターネットで購入したクリームを使い、重篤な皮膚障害を引き起こしたケースも存在します。2023年には、イボやほくろの除去を目的としたクリーム「点痣膏」による被害が相次いで報告されました。
厚生労働省でも、海外製の未承認医薬品について注意喚起を行っています。たとえ安価であったとしても、海外製の未承認医薬品を使うのはやめましょう。
(参考)インターネット等で購入した未承認医薬品等・健康食品(医薬品成分含む)の健康被害情報|厚生労働省
クリニックでの首のイボの治療方法
首にできたイボの治療には、次のような方法があります。
- 炭酸ガスレーザー治療
- ラジオ波メス
- 液体窒素による凍結療法
- 外科的手術
イボの種類や大きさによって、どの方法が提案されるかは違ってきます。
代表的な方法について、どのようなものか概要を見ていきましょう。
炭酸ガスレーザー治療
脂漏性角化症の治療で多く使われているのが、炭酸ガスレーザー治療です。炭酸ガスレーザーを使ってできものを蒸散させて削り取る方法で、厚みのあるイボでも除去できます。
局所麻酔により施術時の痛みはなく、出血も少ない方法です。傷跡の治りが早いため、顔や首など見える部分のイボを除去するのに適しています。
ただし、炭酸ガスレーザー治療は保険適用外です。費用はクリニックで違いますので、確認しておくとよいでしょう。
ラジオ波メス
ラジオ波メスも、脂漏性角化症の治療方法のひとつです。高周波を使い、周囲の組織を傷つけずにイボを削り取ります。ラジオ波メスも局所麻酔を行うため、施術時の痛みはほとんどないでしょう。
傷が塞がるまでの目安は7~14日程度です。ただしきずが深くなりやすい場合があり、赤みや凹みが続く可能性があります。
液体窒素による凍結療法
軟性線維腫や尋常性疣贅などの治療で多く採用されている方法が、液体窒素による凍結療法です。マイナス196度の液体窒素で皮膚を凍らせて、表面にあるイボを除去します。
多少の痛みはあるものの、液体窒素による凍結療法は、保険適用での施術が可能です。
通常は、1~2週間おきに治療を繰り返します。ただし施術後は色素沈着が比較的強く残るため、顔のように目立つ場所への施術は向いていません。
外科的手術
大きなイボでは、外科的手術で切開して除去する場合もあります。
基本的に、イボの除去手術は日帰りです。手術後は軽い痛みが1~2日続くでしょう。当日の飲酒や運動はできません。
縫合した場合は抜糸が必要です。施術後は赤みが残るものの、大抵は3~6か月で落ち着くでしょう。
首のイボは種類に合った治療が必要
目立つイボが首にあってお悩みのかたは、皮膚科や美容皮膚科などで相談してみてください。
イボの種類によって、どの治療法が合っているかは違ってきます。悪化するおそれがありますので、セルフでの除去はおすすめできません。
まずはクリニックでカウンセリングを受け、適切な方法で除去してくださいね。
記事監修者
JSKINクリニック医師 牧野潤
慶應義塾大学医学部卒業。形成外科医。シンガポール国立大学病院留学。医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域で従事。
慶應義塾大学病院、埼玉医科大学総合医療センター等勤務を経て、現在は慶應義塾大学医学部 特任助教。
大学病院での臨床・研究と並行し、レーザー・注入施術などの美容医療に特化した「JSKINクリニック」を2021年より経営・監修。