「脂漏性角化症が赤いように見える」とお悩みではありませんか。通常は褐色や黒色であるため、赤いと心配になってしまいますよね。赤いように見えるなら、炎症や違う病気かもしれません。
本記事では、脂漏性角化症が赤く見える原因をまとめました。特徴や除去方法なども紹介しますので、ぜひ内容をご覧ください。
脂漏性角化症(老人性イボ)が赤いときに考えられる原因
「脂漏性角化症が赤い」
そんなときに考えられる原因は、次の3つです。
- 摩擦や刺激で炎症を起こしている
- 別のできものである
- 除去後の赤みが残っている
3つの原因について、概要をひとつずつ見ていきましょう。
摩擦や刺激で炎症を起こしている
脂漏性角化症が赤くなったのなら、考えられる原因は摩擦や刺激などによる炎症です。
多くの脂漏性角化症は自覚症状がほとんどありません。しかし、つい触ってしまったり、衣類などが擦れたりすると、炎症を引き起こして赤くなる場合があります。
炎症が起きて赤み・かゆみが出ているようなら、皮膚科で治療を受けましょう。
別のできものである
色に赤みがあるなら、脂漏性角化症ではなく、別な病気の可能性も考えられます。
候補として考えられる病気のひとつが、赤いまだら状のシミである「日光角化症」です。日光角化症は皮膚がんの初期の病変と考えられており、有棘細胞癌に移行する可能性があります。
名前のとおり、日光角化症を引き起こす原因は紫外線です。紫外線のダメージを受け続けた60歳以上のかたに多く見られ、顔・手の甲・頭部などに発症します。
日光角化症はいつ有棘細胞癌に移行するか不明であるため、早期の治療が必要です。
除去後の赤みが残っている
すでに除去した脂漏性角化症で、施術後の赤みが気になるかたもいらっしゃるでしょう。
治療の種類にかかわらず、脂漏性角化症は除去後の患部が赤みを帯びます。施術後の赤みは誰にでも起こり得る反応ですので、それほど心配しなくても大丈夫です。その後に色素沈着が始まり、時間をかけて少しずつなじんでいきます。
色素沈着が残らないよう、脂漏性角化症の除去後は日焼け対策を行いましょう。
脂漏性角化症(老人性イボ)とは?
顔や頭にシミのようなできものがあったら、脂漏性角化症かもしれません。悪性化することはないため、基本的に脂漏性角化症は治療の必要はないとされています。しかし、気になるようなら、クリニックでの除去を検討してみましょう。
除去を検討する材料として、脂漏性角化症とはどのようなものなのか、特徴・原因・治療法を解説します。
脂漏性角化症(老人性イボ)の特徴
「老人性イボ」の別名でも呼ばれているのが「脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)」です。通常のイボとは違い、脂漏性角化症はウイルス性ではないため、うつりません。表面を触ると、わずかに盛り上がっているのがわかります。
脂漏性角化症の大きさは数mmから1,2センチくらいまでが多く、褐色または黒色です。特に出やすい場所は顔・頭・前胸部などですが、脇の下や腹部などにも出ます。
イボに見えますが、脂漏性角化症は良性の皮膚腫瘍です。
一度発生すると自然には消えないものの、かさぶたのように剥がれ落ちる場合があります。痛みやかゆみといった自覚症状はありません。ただし、大きくなるときにかゆみを感じることもあるでしょう。
脂漏性角化症(老人性イボ)の原因
脂漏性角化症を引き起こす原因は、紫外線と皮膚の老化です。紫外線で皮膚の表皮基底細胞の遺伝子に異常が起こることが、脂漏性角化症ができるひとつの要因です。
脂漏性角化症は、皮膚の老化現象のひとつです。70-80代以上になると、ほぼすべてのかたに症状が見られます。老化現象といっても、早ければ30代以降でも脂漏性角化症が出る場合もあるでしょう。
次のようなかたは、特に注意が必要です。
- 色白で紫外線対策をしていない人
- 野外で働いている人
- 屋外で運動する機会が多い人
日光にあたる機会が多いと、どうしても脂漏性角化症ができやすくなってしまいます。普段から紫外線対策を徹底して、脂漏性角化症を予防しましょう。
脂漏性角化症(老人性イボ)の治療法
脂漏性角化症は、皮膚科や美容皮膚科などでの除去が可能です。除去には次のような方法があります。
- 液体窒素による冷凍凝固治療
- ラジオ波メス
- 炭酸ガスレーザー治療
- 外科的手術
代表的な方法について概要を紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。
液体窒素による凍結療法
多くの皮膚科で対応しているのが、液体窒素による凍結療法です。
液体窒素を塗布して脂漏性角化症を凍結させ、異常が起きている表皮細胞を壊して除去します。
痛みはあるものの、凍結療法は保険適用が可能です。大きさにもよりますが、通常は1~2週間おきに施術を繰り返して、脂漏性角化症を除去します。
液体窒素による凍結療法は、施術後の色素沈着が目立ちやすいことが最大のデメリットといえます。そのため、顔に脂漏性角化症が出て「見た目の悩みを改善したい」と考えているかたには、向いている方法だといえません。また、頻繁に複数回通院しなければならないこともあり、継続的な治療が必要です。
ラジオ波メス
イボやほくろなど、皮膚表面にあるできものの除去に使われているものとして、ラジオ波メスがあります。
局所麻酔を使うため、施術時の痛みはありませんが、麻酔の注射自体の痛みが強いです。施術後は赤みは、期間をかけて緩和されていきます。
自費診療ですが、短時間でまとめて脂漏性角化症を除去できます。ただし炭酸ガスレーザー治療と比べると、導入しているクリニックは少なめです。
炭酸ガスレーザー治療
顔や首などへの施術に適しているのが、炭酸ガスレーザー治療です。炭酸ガスレーザー治療では、高出力のレーザーを使い、体内の水分を蒸散させてイボを削り取ります。
熱凝固作用によって患部周辺の血管が固まるため、施術時の出血はほぼありません。
また、表面に塗る麻酔クリームの効果で十分鎮痛が得られるため、ほとんどの場合で注射が不要というメリットもあります。周囲の組織を傷つけることもないため、体への負担も抑えられます。施術時間は短く、複数の脂漏性角化症をまとめて除去することも可能です。
ラジオ波メスと同様に、炭酸ガスレーザー治療も保険適用外となります。
外科的手術
脂漏性角化症の除去では、外科的手術も選択肢のひとつです。外科的手術では、メスなどを使って患部を切除します。
脂漏性角化症の状態によっては、医師から保険適用の外科的手術を提案される場合もあるでしょう。
外科的手術は再発のリスクが極めて低い方法です。ただし、施術後の傷跡が薄くなるまでには時間がかかることや、やや長めのきずあとになることへの考慮が必要です。。局所麻酔を行うため、施術時の痛みはありません。
脂漏性角化症は自分で取れる?
時間や費用を節約するために、脂漏性角化症を自分で取りたいとお考えのかたも多いでしょう。
確かに、自分で除去できれば、通院にかかる時間や費用を節約することが可能です。
しかし、残念ながら脂漏性角化症は自分では取れないため、クリニックで除去する必要があります。
ウイルス性のイボではありませんので、漢方薬のヨクイニンやイボ除去薬では効果が得られません。無理に削っても、基底部が残っていると再発してしまいます。また、別な病気だった場合に悪化させるおそれもあるため、自分での除去は危険です。
再発や悪化を防ぐためにも、除去はクリニックで相談してください。
脂漏性角化症でよくある質問
脂漏性角化症で、除去についてお悩みのかたもいらっしゃるでしょう。そこで、脂漏性角化症でよくある質問と答えをピックアップして紹介します。
若くても脂漏性角化症になる可能性はありますか?
脂漏性角化症が出現し始めるのは40代過ぎが一般的です。しかし、20~30代と若いうちに脂漏性角化症が出始めるかたもいるでしょう。脂漏性角化症を防ぐために、普段から紫外線対策を徹底するのがおすすめです。
脂漏性角化症は治療するべきですか?
基本的に脂漏性角化症は良性で、無理に治療する必要はありません。ただし、自然に改善することはなく、大きくなったり、色が濃くなったり、数が増えていくこともあります。見た目の面で気になってくるようであれば、クリニックで相談してみましょう。
脂漏性角化症は市販薬で治りますか?
残念ながら、脂漏性角化症を治せる市販の塗り薬や飲み薬はありません。イボの薬を使っても効果が出ないのは、脂漏性角化症が皮膚腫瘍であるためです。気になる場合はクリニックで除去してもらう必要があります。
脂漏性角化症が赤いときはクリニックで相談
脂漏性角化症が赤いときは、いくつかの原因が考えられます。赤みがあるのなら、炎症や別な病気が原因かもしれません。刺激を与えると悪化するおそれもあるため、除去は医師に任せましょう。
クリニックなら、医師が診察のうえで適切な治療方法を提案してくれます。治療を検討中のかたは、ぜひクリニックで相談してみてくださいね。
記事監修者
JSKINクリニック医師 牧野潤
慶應義塾大学医学部卒業。形成外科医。シンガポール国立大学病院留学。医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域で従事。
慶應義塾大学病院、埼玉医科大学総合医療センター等勤務を経て、現在は慶應義塾大学医学部 特任助教。
大学病院での臨床・研究と並行し、レーザー・注入施術などの美容医療に特化した「JSKINクリニック」を2021年より経営・監修。