眼瞼下垂は何科?眼科・形成外科の違いと受診ポイントについて医師が解説
眼瞼下垂は何科?眼科・形成外科の違いと受診ポイントについて解説します。
眼瞼下垂とは?
眼瞼下垂は、上まぶたが垂れ下がって十分に開かない状態を指し、主に加齢や長期のコンタクトレンズ使用が原因となります。この症状は視野の狭窄や日常生活への支障を引き起こす可能性があり、適切な診断と治療が重要です。
眼瞼下垂は何科を受診すべき?
眼瞼下垂の治療を受ける際には、症状の原因や目的に応じて「眼科」「形成外科」「美容外科」のいずれかを選ぶことが一般的です。それぞれの診療科には特徴があり、以下のように選択すると良いでしょう。
- 眼科
眼瞼下垂の原因が視機能に影響を及ぼしている場合や、他の眼疾患が疑われる場合に適しています。
眼科では、眼瞼下垂の診断や治療に加え、視力や眼球の状態を詳細に検査できます。 - 形成外科
まぶたの機能回復を目的としつつ、傷跡を目立たせないような手術を希望する場合に適しています。
状態に応じて保険適用となる手術治療が可能で、機能性と審美性の両方をより考慮した治療が行われます。 - 美容外科
生活に支障が出ているわけではないが、見た目の改善を重視する場合に選ばれます。
眼瞼下垂の治療だけでなく、二重形成やたるみ除去などの審美的な施術を同時に行うことが可能です。
ただし、原則保険適用外の自費治療になります。
眼科での診療内容と特徴
眼科では、眼瞼下垂が視機能にどの程度影響を与えているかを診断し、必要に応じて手術を行います。以下が主な特徴です。
- 診断の精密さ
眼球や視力に関する詳細な検査が可能で、眼瞼下垂の原因が他の疾患(例: 偽眼瞼下垂症や神経疾患)によるものかどうかを判断できます。 - 治療の目的
主に視界の改善や眼瞼の機能回復を目的とした治療が行われます。審美的な改善を考慮しないわけではないですが、主たる目的にはなりません。。 - 保険適用
症状が日常生活に支障をきたす場合、保険適用で治療を受けることが可能です。
形成外科での診療内容と特徴
形成外科では、眼瞼下垂の機能回復を目的としながら、傷跡を目立たせないような手術が行われます。
- 治療の範囲: まぶたの切開や縫合技術に優れています。
- 審美性への配慮: 機能回復に加えて審美性も考慮した治療が行われます。
- 保険適用: 症状が機能的な問題を引き起こしている場合、保険適用で治療を受けることが可能です。
美容外科での診療内容と特徴
美容外科では、眼瞼下垂の治療に加えて、見た目の改善を重視した施術が行われます。
- 審美的な治療: まぶたの開きを改善するだけでなく、二重形成やたるみ除去など、患者の希望に応じたデザイン性の高い治療が可能です。
- 自由診療: 保険適用外となるため、費用が高額になることが一般的です。ただし、仕上がりの美しさをより重視する方には適しています。
- 多彩な施術メニュー: 眼瞼下垂の治療と同時に、他の美容施術を受けることも可能です。
眼科と形成外科・美容外科の違い
眼瞼下垂の治療を受ける際、眼科、形成外科、美容外科のいずれを選ぶかは、治療の目的や仕上がりの希望によって異なります。それぞれの診療科の特徴を以下の項目ごとに解説します。
治療方法の違い
- 眼科
眼科では、視機能改善を目的とした手術が中心です。主な治療法には「挙筋短縮術」や「挙筋前転術」があり、まぶたを上げる筋肉を調整して視界を広げます。ただし、外科的な手術を行わない眼科クリニックが多いため、眼瞼下垂を得意とする医療機関を選ぶ必要があります。 - 形成外科
形成外科では、切開手術を中心に行い、まぶたの皮膚や筋肉を調整します。上記の挙筋前転術以外にも、余剰皮膚切除術などの提案も可能です。傷跡を目立たせないようにする技術が特徴で、保険適用の範囲内で治療を受けられることが多いです。また、まぶたのたるみや余分な皮膚を除去することで、機能性と審美性を両立させる治療が行われます。 - 美容外科
美容外科では、切開法や埋没法など、患者の希望に応じた多様な治療法が選択可能です。場合により注射やレーザーなどのダウンタイムが短い施術も提供されることがあります。また、二重形成や目の下のクマ治療など、より審美的な要素を重視した治療が特徴です。ただし、これらの治療は保険適用外となることが一般的です。
仕上がりの違い(機能改善 vs 美容改善)
- 眼科
視界の改善が主目的であり、審美性は主たる目的ではありません。傷跡や左右対称性への配慮は限定的です。 - 形成外科
傷跡を目立たせないよう配慮しつつ、自然な仕上がりを目指します。機能性と審美性のバランスを重視します。 - 美容外科
見た目の美しさを最優先し、患者の希望に応じたデザイン性の高い仕上がりを提供します。
まとめ
眼瞼下垂は、視界の狭まりや目の疲れだけでなく、肩こりや頭痛など全身の不調を引き起こすことがあります。セルフチェックで症状が疑われる場合は、早めに眼科や形成外科を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
治療の選択肢は、機能改善を重視するか、美容的な仕上がりを求めるかによって異なります。医師と十分に相談し、自分に合った治療法を選びましょう。
JSKINクリニック東京銀座
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執筆者
JSKINクリニック医師 牧野潤
慶應義塾大学医学部卒業。形成外科学会認定専門医。
在学中にシンガポール国立大学留学。卒業時に医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにて医療・IT分野で従事。初期臨床研修後、慶應義塾大学医学部 形成外科に入局。以降、慶應義塾大学病院及び関連病院にて勤務。2021年11月にJSKINクリニック東京銀座を設立。2024年6月に慶應義塾大学病院 美容外来を開始。
現在、JSKINクリニック代表医師、慶應義塾大学医学部 形成外科 助教。
日本形成外科学会、日本美容外科学会(JSAPS)正会員。形成外科・美容外科学会にて口演及び登壇多数。