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全国で多店舗展開していた医療脱毛クリニックチェーンの、アリシアクリニック。
電車広告や看板、web広告を積極的に出されていたため、知名度があったと思います。

このアリシアクリニックの経営母体(医療法人と一般社団法人)が先日倒産したことがニュースとなり、SNSでも多く話題になっているようです。

率直な第一の感想

その報道自体に特に驚きはなく、そして業界内で衝撃が走っている、ということもないと思います。

美容医療の業界は実は狭く、その世界に身を置く医師であり、かつ医院経営者であることもあり、様々なクリニックの内情などは自然と耳に入ってきます。

とはいえ内部の人間ではない部外者が、無責任に他クリニックのことを対外的に発言することなどできません。

できることとしては、見習うべきところは取り入れ、逆のことは反面教師にして、自院が提供できる美容医療の価値を地道に高めていく、ということに尽きます。

本件に限らず、対外的なイメージと、その実態が異なるクリニックは多くあります。

美容医療業界の直近の現状

今回の報道では、マス広告をよく出していた知名度のあるクリニックであり、規模も大きかったため広く報道されています。

でも一方で、(特に都内で)美容クリニックの数がとても増えていることに気づくと思います。

では美容クリニックの総数が格段に増えているかといえば、そこまでではありません。

何が起こっているかといえば、それなりの数の美容クリニックが、しれっと姿を消しているからです。

美容クリニックが閉院する理由

理由は様々ですが、例として以下の3つがあります。

  • 経営難で倒産したため
  • 何かしらの理由で母体・名称を変えるために既存の閉院し、新規に開院するため
  • 別事業での利益を使って美容クリニックを始めたが、ほとんど利益があがらないため

アリシアクリニックについては①かと思いますが、特に売り上げに対する広告宣伝費の比率があまりに高かったのではないか、という指摘があります。

各広告の単価は私自身も知っていますので、確かにあれだけの広告を出すというのは大変な額になることはわかりますし、かつそれを顧客からの売上で回収することがどれほど難しいことかもわかります。

回数コースの先払いが~、といった指摘もあるようですが、これはクリニックにとっての入金タイミングが変わっているだけの話で、本質的な問題ではないかと思います。

これは一般にはかなり気づきにくいと思います。何かしらの理由、というのを一般化しにくいですが、外観、診療内容、スタッフがあまり変わっていないのに、クリニック名が突如変わることがあります。

旧オーナーが医院ごと、ほかの方に売却したりすることもあります。

現在、新設されている美容クリニックの多くは、別業種の企業が裏で運営しているケースが多くあります。

近年需要が伸びている美容医療に着目し、既存事業の利益を投資して美容クリニックを企画し、医師を雇用しています。

対外的には医院の顔はその院長となる医師ですが、実際は雇用されている身で、経営方針などはそのオーナーや企業が定めます。

一般化はできないですが、非医療者の経営陣と、医療現場のスタッフとの連携がぎくしゃくすることもあり、売上も思ったように伸びず、見切りをつけて閉院されることもあるようです。

チェーンクリニック倒産による社会的な被害者とは

本件の報道では、一括払いをしてまだ施術の残り回数があるのに、もう施術を受けられない、かつ支払ったお金も返ってこない、という方々が多くいらっしゃることも触れられています。

これは重大なことであり、今後何らかな法的手段がなされるのかもしれません。

また、そこで働いていたスタッフにとっても突然のことであり、大変な状況かと思います。
いまや美容クリニックの求人は非常に多く、もしかしたら同じ業界での募集は多いかもしれません。ただし、もともと自らが選んだ職場で、長く充実して働けることの方が、より理想的ではあると思います。

上記のように利用者、勤務スタッフにとって多大な損失が出ているというのはもちろんですが、個人的にはさらに広い範囲での影響があったと考えます。

まっとうな診療をする美容クリニックに対する、好ましくない影響

倒産したとはいえ、これまで多くの利用者がいたわけです。その利用者の方は、宣伝広告をみたり、大手である安心感でそのクリニックを選んだのだと思います。

大きな宣伝広告はよほどの潤沢なキャッシュがあるか、または多少の無理をしないとできません。そのため、多くのクリニックはそのようなことをおこないません。

すると、本来自院にきてもらえたかもしれない顧客が、宣伝広告により他に移ってしまったわけです。移った先のクリニックで良い医療サービスを受けていればよいのですが、結局本件のように倒産してしまうようでは、誰も得をしないことになってしまいます。

長く価値を出し続けるマラソン(経営)をするためには、適切なペースでの水分補給(収益)が不可欠です。それをあたかも短距離走のような猛ペース(過剰な宣伝広告や営業など)で先頭を走り、給水所(顧客)を荒らしてしまったあげく、勝手に途中でリタイアしているような状態です。

残されたクリニックは、社会からの負のイメージダウンを背負いながらも、引き続き経営をし続けていく必要があります。

当院の現状について

一連の報道を受けて、お問い合わせをいただいたり、ご質問を受けることもあるため、情報共有として現時点での状態を記載いたします。(2024/12時点)

  • 現状、倒産の予定はありません。
  • 当院は2021年の開院以来から、広告宣伝費は0です。(今後は検討するかもしれません)
    ご紹介や、インターネット検索から多くご来院いただいています。
  • 医療脱毛に用いる機器として、キャンデラ社のジェントルマックスプロ(厚生労働省承認機器)を使用しています。

レーザー脱毛をはじめ、美容施術は医療行為になります。医療行為には必ずリスクとベネフィットがあり、期待すべき効果を出しながら、リスクを最小限にする努力と、万が一の際のフォロー体制も大切になります。

適切な美容医療をご提供する医院のひとつとして、当院も引き続き診療体制の向上に努めてまいります。

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