眼瞼下垂の見分け方を徹底解説!気になる症状と対処法を医師が解説
眼瞼下垂の見分け方を医師が解説します。
眼瞼下垂の主な症状と特徴
瞼が下がることで生じる見た目の変化
眼瞼下垂は、上まぶたが下がることで視界が狭くなり、日常生活に支障をきたす状態です。
この症状は、見た目にも大きな影響を与えます。具体的には、以下のような変化が挙げられます。
- 眠たそうな印象
まぶたが下がることで、周囲から「眠そう」と思われることが多くなります。 - 眉毛や額のシワ
視界を確保するために、額の筋肉を使ってまぶたを持ち上げようとするため、眉毛が吊り上がり、額に深い横シワができることがあります。 - 顎を上げる姿勢
視野を確保するために、顎を上げて物を見る姿勢を取ることが多くなります。この姿勢は、首や肩への負担を増加させる要因にもなります。 - 左右差の目立ち
両目の開き具合に差が生じることがあり、これが見た目の不均衡を引き起こします。
これらの変化は、単なる外見上の問題にとどまらず、心理的な負担や社会的な影響を及ぼすこともあります。
眼精疲労や頭痛の原因に?
眼瞼下垂は、眼精疲労や頭痛の原因となることがあります。まぶたが下がることで視界が狭くなり、目を開けるために余計な力を使うことが主な要因です。
- 眼精疲労
まぶたを持ち上げるために、額の筋肉や眉毛を頻繁に使うことで、目の周辺が疲れやすくなります。この疲労が蓄積すると、眼精疲労を引き起こします。 - 頭痛
額や眉毛の筋肉を過剰に使用することで、緊張性頭痛が発生することがあります。また、視界が狭くなることで、目を凝らして見る習慣がつき、これが頭痛の一因となることもあります。 - 自律神経の影響
眼瞼下垂による神経受容体の刺激が、脳や中枢神経に影響を与え、頭痛や不眠症、不安障害などの症状を引き起こす場合もあります。
これらの症状は、眼瞼下垂の直接的な影響だけでなく、間接的な要因によっても引き起こされるため、早期の診断と治療が重要です。
肩こりや姿勢の悪化にもつながる可能性
眼瞼下垂は、肩こりや姿勢の悪化とも密接に関連しています。視界を確保するために不自然な姿勢を取ることが、これらの症状を引き起こします。
- 肩こり
額や首の筋肉を過剰に使用することで、肩や首の筋肉が緊張し、血行不良を引き起こします。この結果、慢性的な肩こりが生じることがあります。 - 姿勢の悪化
視野を確保するために顎を上げる姿勢を取ることが多くなると、首や背中に負担がかかり、姿勢が悪化する可能性があります。このような姿勢の変化は、長期的には筋骨格系の問題を引き起こすこともあります。 - 全身への影響
肩こりや姿勢の悪化が進行すると、全身の血行不良や疲労感、不眠などの症状が現れることがあります。
これらの症状は、眼瞼下垂の治療を通じて改善することが期待されますが、早期の対応が重要です。特に、肩こりや姿勢の悪化が進行すると、日常生活の質に大きな影響を及ぼす可能性があります。
眼瞼下垂を放置するとどうなる?
眼瞼下垂を放置すると、視覚や身体、精神面にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。以下に主なリスクを解説します。
まず、視野の狭窄が進行します。まぶたが垂れ下がることで視界が遮られ、日常生活に支障をきたすことがあります。これにより、物を見る際に顎を上げる姿勢を取る癖がつき、首や肩に負担がかかることがあります。
次に、眼精疲労や頭痛が発生する可能性があります。視界を確保するために額や眉毛の筋肉を過剰に使用することで、目の周囲が疲れやすくなり、緊張性頭痛を引き起こすことがあります。また、これが慢性化すると、肩こりや首の痛みを伴うこともあります。
さらに、姿勢の悪化や肩こりもリスクの一つです。顎を上げる姿勢が続くことで、首や肩の筋肉が緊張し、血行不良を引き起こします。これが慢性的な肩こりや姿勢の歪みにつながる可能性があります。
精神的な影響も無視できません。眼瞼下垂により「眠たそう」「老けて見える」といった外見上の変化が起こり、自己評価の低下や対人関係でのストレスを感じることがあります。また、交感神経の過剰な緊張が自律神経の乱れを引き起こし、不眠やめまいなどの症状を伴う場合もあります。
これらのリスクを軽減するためには、早期の診断と適切な治療が重要です。特に症状が進行する前に専門医に相談することが推奨されます。
眼瞼下垂の治療方法と対処法
手術による治療法の種類と特徴
眼瞼下垂の治療は、基本的に手術が最も効果的であり、症状の原因や程度に応じて複数の術式が選択されます。以下に代表的な手術方法とその特徴を解説します。
- 挙筋前転術(きょきんぜんてんじゅつ)
眼瞼挙筋(まぶたを持ち上げる筋肉)が伸びている場合に、その筋肉を短縮して機能を回復させる手術です。軽度から高度の眼瞼下垂まで全般に適しており、比較的自然な仕上がりが期待できます。 - 眉毛下余剰皮膚切除術(眉下切開、眉下リフト)
まぶたの皮膚のたるみを改善する治療です。垂れ下がったまぶたのたるみが軽減することで、本来の目の形に戻り、目をあけやすくなる効果があります。眉毛の下縁にきずが隠れるため、きずが目立ちにくい治療です。 - 前頭筋吊り上げ術(ぜんとうきんつりあげじゅつ)
挙筋の機能がほとんど失われている場合に、おでこの筋肉(前頭筋)の力を利用してまぶたを持ち上げる手術です。重度の眼瞼下垂や先天性の症例に適用されますが、仕上がりがやや人工的になる場合があります。 - 埋没式挙筋短縮術(切らない手術)
メスを使わず糸で筋肉を固定する方法で、軽度の眼瞼下垂に適しています。ダウンタイムが短く、術後の腫れも少ないため、手術に抵抗がある方に人気です。ただし、適応範囲が限られます。
これらの手術は、症状の程度や患者の希望に応じて選択されます。医師との十分な相談が重要です。
手術後の回復期間と注意点
眼瞼下垂手術後の回復期間は、手術の種類や個人差によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
- 回復期間
手術後約2週間は腫れや内出血が見られることが多く、完全に腫れが引くまでには1-2か月程度かかる場合があります。切開を伴う手術ではダウンタイムが長くなる傾向がありますが、埋没法などの切らない手術では1-2週間程度で日常生活に戻れることが多いです。 - 術後の注意点
- 冷却と安静: 手術直後から2~3日は患部を冷やし、腫れを抑えることが推奨されます。
- 感染予防: 傷口を清潔に保ち、医師から処方された抗生物質や外用薬を適切に使用します。
- 激しい運動の制限: 血流が増えることで腫れや内出血が悪化する可能性があるため、術後1週間程度は運動や入浴を控える必要があります。
- 定期的な診察: 術後1週間で抜糸を行い、その後も1か月、3か月と定期的に経過観察を受けることが重要です。
術後の経過には個人差があるため、医師の指示に従いながら無理のない生活を心がけましょう。
手術以外の改善策はある?
眼瞼下垂を根本的に治療するには手術が必要ですが、軽度の症状や予防のために以下の方法が試みられることがあります。ただし、これらは一時的な改善や進行の抑制を目的としたものであり、根本的な治療にはなりません。
- セルフケアやトレーニング
目の周りの筋肉を鍛えるトレーニングやストレッチが提案されることがありますが、効果は限定的です。むしろ、誤った方法で行うと症状を悪化させる可能性があるため、注意が必要です。 - アイプチやテープの使用
二重のりやアイテープを使ってまぶたを持ち上げることで、見た目を一時的に改善することができます。ただし、長期使用はまぶたに負担をかけ、症状を悪化させるリスクがあります。 - 生活習慣の見直し
コンタクトレンズの長時間使用を避ける、まぶたをこすらない、アイメイクを優しく落とすなど、まぶたへの負担を減らすことが予防につながります。
これらの方法は軽度の症状や予防には役立つ場合がありますが、進行した眼瞼下垂には効果が期待できないため、専門医の診察を受けることが推奨されます。
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執筆者
JSKINクリニック医師 牧野潤
慶應義塾大学医学部卒業。形成外科学会認定専門医。
在学中にシンガポール国立大学留学。卒業時に医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにて医療・IT分野で従事。初期臨床研修後、慶應義塾大学医学部 形成外科に入局。以降、慶應義塾大学病院及び関連病院にて勤務。2021年11月にJSKINクリニック東京銀座を設立。2024年6月に慶應義塾大学病院 美容外来を開始。
現在、JSKINクリニック代表医師、慶應義塾大学医学部 形成外科 助教。
日本形成外科学会、日本美容外科学会(JSAPS)正会員。形成外科・美容外科学会にて口演及び登壇多数。