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埋没法による二重手術は、比較的簡便かつダウンタイムが少なく、まぶたの強いたるみや眼瞼下垂のない、主に20歳手前~40歳代頃までの方に広くおすすめできる方法になります。

しかし簡便といっても、外科的処置をともなう医療行為である以上、事前の入念な準備は必須といえます。実際は手術の前日に必要な物品は正しく準備され、当日スムーズに手順が進められるよう配慮されています。

手術を受ける方にとってはひとつひとつの具体は必要はないものの、いったいどのような物品が用いられるのかについて、ご興味(ご不安)がある方も多いかと思います。

そこで今回は、二重埋没法で用いる物品を、一例として紹介させていただきます。

物品の事前準備

手術の前日には、あらかじめ当日に必要な物品が準備されています。例として以下のようなものは必要になります。

  • デザイン用のペン(黒、赤、青でそれぞれ超極細)
    :デザインには超極細のペンを用います
  • 1mm単位のメジャー
    :デザインやその確認に用います
  • 消毒液
    :まぶたやその周囲の皮膚を清潔にします
  • 覆布(清潔なカバー)
    :消毒後、上から清潔なカバーをかけ、目元のみが出るようにします
  • 点眼用麻酔
    :眼球にモノが当たることはないですが、手術中の不快感や痛みを緩和します
  • 注射用麻酔(※冷蔵庫に保管しており、当日手術前に取り出す)
    :まぶたの皮膚面および結膜面に麻酔をして、手術時の痛みを緩和します
  • 超極細針(30G~)
    :麻酔時の痛みと内出血を最小限にするために、超極細の針を用います。場合により鈍針を併用することもあります。
  • 7-0ポリプロピレン両端針
    :実際に用いる糸です。糸の両側に針がついています。
  • 18G針
    :糸の結び目を皮膚の下に埋没させるために使います
  • 持針器
    :針と糸を操作するために使います
  • 眼科用剪刀
    :糸を結んだあと、余分な糸を切り離すために使います
  • 微小セッシ
    :針や糸を操作する際に用います
  • ガーゼ
    :ふき取りをおこなうために滅菌された清潔なガーゼです

消毒をおこなってからの手術操作に用いる器具は、すべて事前に滅菌処理がおこなわれています。

「7-0ポリプロピレン」とは

医療用の糸には材質、性状、太さなど多岐にわたって存在しており、その目的に応じて適切な糸が選択されます。

埋没法の二重手術にあたっては、「7-0ポリプロピレン(7-0プロリン)」という糸を使用します。

その理由は以下になります。

  • 柔らかく扱いやすい
    • まぶたの皮膚は薄く繊細です。柔軟性のある糸の方が自然な二重を形成しやすかったり、適度な力をまぶたに加えられるといったメリットがあります。
  • 組織反応性は低い(異物反応が起きにくい)
    • 非吸収性、かつモノフィラメント(編み込みがされていない)のため、皮膚の下に長期間埋没されていても、異物反応が出にくく安定してとどまることができます。
  • 極細であっても必要な強度が保たれる
    • 「7-0」というのは細さを表しています。数字が大きいほど細くなります。細い方が糸の結び目も小さくなり、より自然な二重が期待できます。
    • 一方で、二重のラインをとどめるためには一定の強度も必要です。細く柔らかい糸でありながらも、必要な強度も持ち合わせていることも大切なポイントです。

このように、各物品のひとつひとつに意味があり、なぜその物品が選ばれているのかの理由も存在しています。

手術を受けられる方が直接目にするものではないですが、だからこそ、医療者として適切な選択と管理をおこなっていることが不可欠になります。

ややマニアックな内容ではありますが、ひとつの参考情報になりましたら幸いです。

JSKINクリニック東京銀座

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執筆者

JSKINクリニック医師 牧野潤

慶應義塾大学医学部卒業。形成外科学会認定専門医。
在学中にシンガポール国立大学留学。卒業時に医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにて医療・IT分野で従事。初期臨床研修後、慶應義塾大学医学部 形成外科に入局。以降、慶應義塾大学病院及び関連病院にて勤務。2021年11月にJSKINクリニック東京銀座を設立。2024年6月に慶應義塾大学病院 美容外来を開始。
現在、JSKINクリニック代表医師、慶應義塾大学医学部 形成外科 助教。
日本形成外科学会、日本美容外科学会(JSAPS)正会員。形成外科・美容外科学会にて口演及び登壇多数。

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