線維芽細胞移植とは?安全性や一般的な流れをわかりやすく解説
肌の老化が気になるなら、線維芽細胞移植によって改善をめざす方法があります。線維芽細胞移植は、加齢によって衰えた肌の再生を促す効果に期待できる施術です。また、老化の進行を抑える効果にも期待できます。
加齢によるシワやたるみでお悩みのかたは、選択肢のひとつとして、線維芽細胞移植を考えてみませんか。
本記事では、線維芽細胞移植とはどのようなものか、わかりやすく解説します。安全性や施術の一般的な流れも紹介しますので、ぜひご覧ください。
線維芽細胞移植とは?

線維芽細胞(せんいがさいぼう)移植は再生医療のひとつで、若々しい肌を取り戻すための施術のことです。「線維芽細胞療法」「真皮線維芽細胞療法」など、クリニックによって多少呼び名に違いがあります。
線維芽細胞とは、真皮にあるコラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸などを生成する役割を持っている細胞です。施術では、自分自身の身体から線維芽細胞を採取して培養し、老化が気になる部分に注入することで、気になる症状を改善します。
細胞の培養や定着に時間がかかるため、線維芽細胞はすぐに効果が出るタイプの治療方法ではありません。時間をかけて少しずつ肌の状態を改善していく方法で、薬剤を注入する方法とは違い、自然な仕上がりに期待できます。採取した細胞は専用施設で冷凍保管をしておき、その後数年にわたって定期的に治療することも可能です。
一般的な美容医療の施術よりも費用は高くなるものの、長期的な効果に期待できます。
線維芽細胞移植の安全性
まだ新しい施術であるため、線維芽細胞移植の安全性に不安を感じるかたも多いでしょう。
自分自身の細胞を使う線維芽細胞は、人工の薬剤を体内に入れる施術とは違い、拒絶反応や副作用のリスクが低い治療方法です。手術の必要もないため、身体にかかる負担も抑えられます。
また、線維芽細胞移植を行っているのは、厚生労働省に「再生医療等提供計画書」を提出して、第Ⅱ種再生医療の認可を受けたクリニックです。細胞の管理や保管は「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に則り、専門の施設で行われています。
そのため、線維芽細胞移植は安全性の高い治療だといえるでしょう。
線維芽細胞移植の流れ

線維芽細胞移植を受けるには、何度か通院する必要があります。カウンセリングから2回目の移植までにかかる期間の目安は2~3か月です。一般的な流れを紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。
1. クリニックで医師の診察やカウンセリングを受ける
治療を検討している場合は、医師による診察やカウンセリングを受けましょう。
線維芽細胞移植は保険適用外で、全額自己負担です。治療にかかる費用はクリニックによって違ってきます。移植を行う部位・細胞の保管期間などによる費用の違いもありますので、カウンセリング時に確認しておきましょう。
2. 血液検査を受ける
線維芽細胞移植をすることが決まったら、感染症の有無などを確認するために血液検査を受けます。結果が出るまでに必要な期間は、おおよそ数日~1週間です。血液検査の結果によっては、移植を受けられないことがあります。
3. 線維芽細胞の採取や採血を行う
耳の後ろなどから細胞の抽出に使う皮膚を採取します。採取する皮膚は米粒程度の大きさです。局所麻酔により、痛みはほぼ感じないでしょう。
耳の後ろの皮膚を採取することが多いのは、紫外線のダメージを受けにくく、老化の進行が遅い場所であるためです。
また、細胞の培養に血清を用いるため、そのための採血も行います。
4.専門の施設で線維芽細胞を培養する
採取した皮膚や血液は専門の施設(CPC)に届けられ、線維芽細胞のみを抽出して培養されます。施設やクリニックによる違いもありますが、細胞の培養にかかる期間は4~8週間が目安です。
5.肌に線維芽細胞を移植する
培養・増殖した 線維芽細胞を、肌の気になる部位に注入します。細胞を定着させるために、はじめて3か月程度あけて2回注入し、以降は6~12か月おきにメンテナンスする方法が一般的です。
施術後はダウンタイムがあり、腫れや内出血などが出る場合があります。腫れや内出血などを抑えるために、施術当日の入浴・運動・飲酒は控えましょう。医師の指示に従い、安静に過ごしてください。
6. 定期検診を受ける
細胞を移植した後は、クリニックで定期検診を受けます。定期検診のタイミングは、施術を受けるクリニックで相談しましょう。
線維芽細胞移植に関するよくある質問

線維芽細胞移植を受けるなら、疑問や不安を解消しておくことが大切です。そこで、線維芽細胞移植に関するよくある質問と答えを紹介します。治療を受けるか検討する際の参考材料として、ぜひチェックしてみてください。
線維芽細胞移植に年齢制限はありますか?
線維芽細胞移植には「何歳まで」といった年齢制限が決められていません。どの年代であっても、細胞を培養・増殖して活性化することにより、肌の悩みの根本的な改善に期待できます。年代を問わず、「肌を若返らせたい」と考えているかたにおすすめの施術です。
ただし、細胞の採取前に行われる血液検査の結果によっては、移植が受けられないことがあります。
20代でも線維芽細胞移植が受けられますか?
20代・30代で肌の老化が気になっていないかたも、線維芽細胞移植を受けることが可能です。線維芽細胞移植は、肌の悩みの改善だけでなく、老化の抑制にも効果が期待できます。肌の老化による症状が出る前に施術を受けることによって、美肌の維持につながるでしょう。
若いうちに細胞を採取しておき、移植を受けるといったことも可能です。ただし、20代~30代で加齢による症状が少ない場合、「効果が少ない」と感じられる可能性があります。
線維芽細胞移植はほかの美容医療と併用できますか?
線維芽細胞移植は、ほかの美容医療との併用も可能です。線維芽細胞移植によって肌の状態を整えてからほかの施術を受けると、相乗効果に期待できるでしょう。
ただし、細胞の定着に支障が出る施術もあります。併用を検討しているかたは、事前にクリニックで相談しましょう。
線維芽細胞移植の治療部位は?
線維芽細胞移植のおもな治療部位は顔・首などです。シワ・たるみ・クマ・ニキビ跡・凹み・ほうれい線などの症状が出ている部位に細胞を移植すると、効果に期待できます。
ただし、細胞の移植量が多いと料金も増えることに注意が必要です。どのくらいの費用がかかるのか、あらかじめクリニックで確認しておきましょう。
子どもの線維芽細胞を移植できますか?
「子どもの細胞なら若返りの効果が高いのでは」と思われるかたも多いでしょう。確かに、若い細胞を使うと施術の効果を早く時間できる可能性はあるものの、線維芽細胞移植は自分自身の細胞を移植する施術です。安全性の問題から、子ども・兄弟姉妹など、本人以外の線維芽細胞を移植することはできません。
線維芽細胞移植を受ける際の注意点
線維芽細胞移植を安全に受けるために、以下の点に注意しましょう。
- 複数のクリニックでカウンセリングを受けてみる
- 信頼できるクリニック及び医師を選ぶ
- 施術によるダウンタイムを理解しておく
- 医師の指示に従って術後のケアをする
- 保証制度のあるクリニックで施術を受ける
肌の老化を改善するなら線維芽細胞移植がおすすめ
たるみ・シワなど肌の老化による症状でお悩みなら、線維芽細胞移植による根本的な改善がおすすめです。線維芽細胞移植を受けることで、自然な若々しさがめざせるでしょう。線維芽細胞移植は若い年代のかたにもおすすめの施術です。継続して治療を受けると、美肌の維持に役立ちます。
ただし、線維芽細胞移植は一般的な美容医療の施術よりも費用が高く、時間もかかる施術です。即効性を求める場合は、ほかの施術が適している可能性もあります。
興味をお持ちのかたは、ぜひクリニックのカウンセリングで相談してみてくださいね。
JSKINクリニック東京銀座
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<慶應義塾大学病院認定の美容医療クリニック>
執筆者
JSKINクリニック医師 牧野潤

慶應義塾大学医学部卒業、形成外科学会認定専門医
現在はJSKINクリニック代表医師、および慶應義塾大学医学部 形成外科 助教(慶應病院美容外来担当医)を務める。
所属:日本形成外科学会、日本美容外科学会(JSAPS)、日本再生医療学会、日本レーザー医学会
発表:日本形成外科学会学術集会(シンポジスト、口頭演者)、日本美容外科学会(JSAPS)(口頭演者)、韓国形成外科学会(口頭演者)
メディア:ホンマでっか!?TV(フジテレビ)、婦人画報デジタル、雑誌ゲーテ/GOETHE、MXテレビ、その他webメディアでの監修多数