線維芽細胞とは?減少するとどうなるかや減る原因をわかりやすく解説
健やかで若々しい肌を保つために重要な細胞が「線維芽細胞」です。皮膚のたるみやシワが目立ってきたのなら、線維芽細胞の減少が原因なのかもしれません。しかし、「線維芽細胞がどのようなものか知らない」というかたもいらっしゃいますよね。
本記事では、線維芽細胞とはどのようなものか、わかりやすく解説します。線維芽細胞が減少するとどうなるかや、減る原因も解説しますので、ぜひご覧ください。
線維芽細胞とは?

線維芽細胞(せんいがさいぼう)とは、皮膚や結合組織などに存在している、人間の身体にとって重要な役割を持つ細胞のひとつです。特に肌の健康に欠かせない細胞で、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などを生成します。
擦り傷や切り傷などを修復することも、線維芽細胞が持つ重要な働きです。線維芽細胞は、古い細胞を分解して新しい細胞を生成することで、肌の再生を促進します。
人間にとって重要な線維芽細胞ですが、さまざまな原因で減少していきます。現在のところ、線維芽細胞を増やす効果のある食べものやサプリメントなどは明らかになっていません。ただし、線維芽細胞は美容クリニックの「再生医療」で増やせます。また、美容クリニックの施術で、線維芽細胞を活性させることも可能です。
線維芽細胞が作り出す3つのたんぱく質
線維芽細胞は、若々しい肌に必要な以下3つのたんぱく質を作り出します。
- コラーゲン
- エラスチン
- ヒアルロン酸
肌の真皮で柱のような役割を持つのがコラーゲンです。コラーゲンをエラスチンがつなぎ止め、すき間をヒアルロン酸が埋めています。
3つのたんぱく質について、それぞれの特徴をチェックしてみましょう。
コラーゲン
コラーゲンは、人間の皮膚・靭帯・骨・血管・角膜などを構成する、重要なたんぱく質の一種です。全身のたんぱく質の約30パーセントを占めるのがコラーゲンで、細胞と細胞を結んだり、傷や組織を修復したりする役割があります。
体内のコラーゲン量のピークは18~29歳ごろです。40歳を過ぎると、年間10パーセントのコラーゲンが失われていくともいわれています。
肌にハリや弾力があるのは、コラーゲンの働きによるものです。また、コラーゲンは全身の健康にも大きく関係しています。
エラスチン
エラスチンも、線維芽細胞によって作られるたんぱく質の一種です。血管・皮膚・肺のような弾力のある組織に存在するエラスチンには、コラーゲンに絡みついてまとめる役割があります。
肌に伸縮性があるのは、エラスチンの働きによるものです。
コラーゲンと比べると分解されにくいものの、エラスチンは損傷すると再生が難しいという特徴があります。
また、エラスチンの多くは、胎児から新生児のあいだに体内で合成されたものです。エラスチンも年齢とともに壊れていくもので、基本的に再生しないとされています。
ヒアルロン酸
ヒアルロン酸とはムコ多糖の一種で、体内にもともとある保水成分です。1グラムで6リットルもの水分を保つ力があり、肌にうるおいやハリを与えます。乾燥を防ぐこともヒアルロン酸の重要な役割です。関節の働きをよくする・目の形を保つといった働きもあります。
コラーゲンやエラスチンが十分でも、ヒアルロン酸がなければ肌のハリやツヤは保てません。ヒアルロン酸が不足すると、肌は乾燥し、シミやそばかすもできやすくなってしまいます。
ヒアルロン酸も、加齢とともに減っていくことが特徴です。70代になると、体内のヒアルロン酸量は、10~20代の20パーセントまで減少するといわれます。このヒアルロン酸を補う施術が、美容クリニックでのヒアルロン酸注射です。
線維芽細胞が減少するとどうなる?

線維芽細胞が減少すると、コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸の量も減ってしまいます。コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸の減少で引き起こされるのが、肌の老化です。
肌の弾力や保湿力が低下するため、皮膚のたるみやシワなどが目立つようになるでしょう。また、線維芽細胞の減少が、骨粗しょう症や動脈硬化などにつながることもあります。
線維芽細胞が減るおもな原因
体内にある線維芽細胞は、さまざまな原因で減少したり機能が低下したりします。線維芽細胞の減少につながるおもな原因は以下の3つです。
- 加齢
- 紫外線やストレスなどによるダメージ
- 乾燥
3つの原因について、それぞれチェックしてみましょう。
加齢
線維芽細胞が減る特に大きな原因が加齢です。年齢を重ねると、次第に線維芽細胞は減少していきます。
紫外線によるダメージ
紫外線によるダメージも、線維芽細胞が減る原因です。若くても皮膚のたるみやシワが気になるのなら、紫外線が原因かもしれません。
紫外線には、体内の酸素や水分を活性酸素に変える働きがあります。活性酸素は、ほかの細胞を変化させたり破壊したりする物質です。
紫外線のほか、ストレスや喫煙によるダメージも線維芽細胞の減少につながります。
乾燥
肌の乾燥も、線維芽細胞が減る原因のひとつです。乾燥すると、皮膚のバリア機能が正常に働かなくなります。バリア機能が低下すると、線維芽細胞を維持できなくなってしまう仕組みです。
線維芽細胞に関するよくある質問

線維芽細胞に関するよくある質問を2つ紹介します。肌の老化を防ぐために、ぜひチェックしてみてください。
線維芽細胞の減少は防げる?
若々しい肌を維持するために、まずは線維芽細胞の減少を防ぎましょう。線維芽細胞の減少は、次のような方法で防げます。
- 紫外線対策をする
- 禁煙をする
- ストレスを解消する
- バランスのよい食事や質のよい睡眠をとる
- 保湿する
線維芽細胞の減少を防ぐには、生活習慣やスキンケアの見直しが効果的です。紫外線対策や禁煙も徹底しましょう。
線維芽細胞は増やせる?
線維芽細胞はクリニックの「再生医療」で増やすことが可能です。また、ニードルRFやフォトフェイシャルなど、線維芽細胞を刺激して活性化させる施術もあります。
真皮から採取した線維芽細胞を培養して肌に戻す施術が、再生医療です。自分自身の細胞を使う施術であるため拒絶反応のリスクが低く、長期にわたる効果に期待できます。自然な若々しさを手に入れたいのなら、再生医療も方法のひとつとして検討してみましょう。
ただし、再生医療で線維芽細胞を増やすためには時間が必要です。
線維芽細胞治療を受ける際の注意点
線維芽細胞に関する治療を検討する際は、以下の点に注意しましょう。
- 複数のクリニックで相談し比較検討する
- 再生医療の認可を受けたクリニックを選ぶ
- 治療内容とリスクについて十分説明を受ける
- 効果が現れるまでに長期間かかることを理解する
- アフターケア体制が整っているか確認する
肌の悩み解消は美容クリニックでの相談がおすすめ
年齢を重ねて肌のたるみやシワが気になっているのなら、線維芽細胞の減少が原因であるかもしれません。毎日のスキンケアだけで改善しない肌の悩みがあるときは、美容クリニックで相談してみる方法もあります。
線維芽細胞を増やせる方法として注目されているのが、肌の「再生医療」です。再生医療は時間がかかるものの、自分の細胞を使う方法であるため、自然な仕上がりに期待できるでしょう。短期間で効果を得たいかたには、ダーマペンやフォトフェイシャルなどの、線維芽細胞を活性化させる方法もおすすめです。
肌の悩みを解消したいとお考えのかたは、まず美容クリニックで相談してみてくださいね。
JSKINクリニック東京銀座
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<慶應義塾大学病院認定の美容医療クリニック>
執筆者
JSKINクリニック医師 牧野潤

慶應義塾大学医学部卒業、形成外科学会認定専門医
現在はJSKINクリニック代表医師、および慶應義塾大学医学部 形成外科 助教(慶應病院美容外来担当医)を務める。
所属:日本形成外科学会、日本美容外科学会(JSAPS)、日本再生医療学会、日本レーザー医学会
発表:日本形成外科学会学術集会(シンポジスト、口頭演者)、日本美容外科学会(JSAPS)(口頭演者)、韓国形成外科学会(口頭演者)
メディア:ホンマでっか!?TV(フジテレビ)、婦人画報デジタル、雑誌ゲーテ/GOETHE、MXテレビ、その他webメディアでの監修多数