線維芽細胞はどこにある?働きや加齢による変化をわかりやすく解説
線維芽細胞とは、身体のどこにある細胞なのでしょうか。
若々しい肌と大きく関係しているのが、線維芽細胞です。近年は、線維芽細胞を使った再生医療も注目されています。線維芽細胞とはどのようなものか、興味をお持ちのかたも多いでしょう。
本記事では、線維芽細胞がある場所や、線維芽細胞が持つ効果などを解説します。線維芽細胞を活用した肌の再生医療についてもわかりやすく紹介しますので、ぜひ内容をご覧ください。
線維芽細胞はどこにある?

線維芽細胞の正式名称は「真皮線維芽細胞」で、皮膚の真皮層などに存在する細胞です。
人間の皮膚は、「表皮層・真皮層」の2層で構成され、その下には皮下組織があります。表皮層の下にあるのが真皮層で、厚さはおよそ1~3ミリです。真皮は厚く弾力があり、血管や神経、リンパ節などが通っています。この血管周辺にあるのが真皮幹細胞です。
真皮幹細胞が細胞分裂するときに、線維芽細胞を生み出すという仕組みになっています。
線維芽細胞の持つ働き

線維芽細胞には、以下のような働きがあります。
- 若々しい肌を作る
- 新しい細胞や血管を作る
- 女性ホルモンを作る
- 傷を修復する
代表的な働きについて、それぞれ見ていきましょう。
若々しい肌を作る
真皮層にある線維芽細胞は、コラーゲン・ヒアルロン酸・エラスチンを生成する働きを持った細胞です。これらの成分には、以下のような働きがあります。
- コラーゲン……肌のハリを出す
- ヒアルロン酸……肌の潤いを保つ
- エラスチン……肌の弾力性を維持する
3つの成分は、いずれも若々しく美しい肌を作るために重要な役割を持っています。加齢によってハリや潤いが失われるのは、真皮層にある線維芽細胞の数が減ってしまうためです。
新しい細胞や血管を作る
線維芽細胞には、古い細胞を分解して新しい細胞を作る働きもあります。新しい細胞の生成がスムーズに進むことで、肌の健康が保たれる仕組みです。また、線維芽細胞には血管づくりをサポートする役割もあります。
女性ホルモンを作る
女性ホルモンを作ることも、線維芽細胞の持つ働きです。線維芽細胞は、男性ホルモンの「アンドロゲン」を、女性ホルモンである「エストロゲン」に変える酵素を出します。エストロゲンは、コラーゲンの生成をサポートし、肌の弾力を保つ役割を持つ女性ホルモンです。
傷を修復する
傷の修復も、線維芽細胞の大切な働きです。皮膚や組織が傷つくと、その場所に線維芽細胞が移動してコラーゲンを生成し、修復をサポートします。
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加齢による線維芽細胞の変化
若々しい肌を維持するためには、質のよい線維芽細胞が欠かせません。線維芽細胞は、30代を過ぎると減少し、新しい細胞を作る働きも低下します。線維芽細胞が減少すると、美肌に役立つコラーゲンやヒアルロン酸などの生成量が減り、シワやたるみなどの症状が出る仕組みです。
また、線維芽細胞は、加齢だけでなく、紫外線や乾燥などでもダメージを受け、減少していきます。シワやたるみを防ぐには、紫外線や乾燥を防ぐことも大切です。
線維芽細胞を活用した治療の種類

近年は、自分自身の細胞を使う「再生医療」が注目を集めています。再生医療とは、病気やケガなどで機能不全になった組織や臓器を再生する医療です。
肌の再生医療では、次のような治療が行われています。
- PRP療法
- 線維芽細胞注入療法
代表的な治療の種類について、概要を解説します。
PRP療法
PRP療法とは、人間の血液に含まれる「多血小板血漿」を使う治療法です。PRPに含まれる血小板や白血球などには、組織の治癒や炎症を抑制する働きがあります。その働きによって、ケガの治りを早くして、炎症や痛みを改善する治療法です。
PRP療法は、おもに以下の病気の治療で行われています。
- 変形性膝関節症や変形性股関節症など、関節の病気
- テニス肘やゴルフ肘などスポーツによるケガや病気
- 腰や肩の病気
また、濃縮した血小板を注入し、線維芽細胞の働きを助けてシワやたるみを改善する、「PRP皮膚再生療法」もあります。
線維芽細胞療法
線維芽細胞療法は、細胞を採取・培養して気になる部位に移植する治療法です。「線維芽細胞移植」「線維芽細胞注入療法」など、クリニックによって名称には違いがあります。
線維芽細胞療法で移植するのは自分自身の細胞です。薬品や人工物を注入する方法とは違い、拒絶反応や副作用が起きにくく、顔以外の部分も治療できます。
線維芽細胞療法に期待できるのは、次のような症状の改善です。
- 小じわ
- 肌のたるみ
- ほうれい線
- クマ
ほかの美容医療と比較すると高額ですが、線維芽細胞療法は自然で若々しい肌をめざせる治療法です。ただし、効果の出方には個人差があります。
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線維芽細胞療法の流れ

線維芽細胞療法に興味をお持ちのかたは、まずクリニックでカウンセリングを受けましょう。カウンセリングでは、施術内容やメリット・デメリットなどの説明が受けられます。
治療を希望する場合は、事前に血液検査が必要です。血液検査の結果に問題がなければ、細胞や血液の採取などが行われます。
細胞の培養を行っているのは、厚生労働省から許認可された専門の施設です。採取した細胞を4~6週間かけて培養・増殖し、治療を希望する部位に移植します。
移植によるダウンタイムは長くて1週間程度です。大抵は2~3日で腫れや内出血などの症状が落ち着くでしょう。
クリニックによっては、細胞の定着をよくするために、同じ部位に2回移植を行います。
個人差はあるものの、治療の効果が持続する期間の目安は2~3年です。採取した細胞を保管しておくと、定期的に施術を受けられます。
線維芽細胞に関するよくある質問

肌の真皮にある線維芽細胞は、若々しい肌に欠かせない細胞です。線維芽細胞や線維芽細胞療法に関するよくある質問と答えも紹介しますので、ぜひご覧ください。
線維芽細胞は食べものやサプリで増やせますか?
現在のところ、線維芽細胞を増やす効果がある食べものは判明しておらず、サプリもありません。肌の線維芽細胞を増やせるのは、再生医療である「線維芽細胞療法」のみです。
ただし、次のような成分により、線維芽細胞の活性化を促すことはできます。
- コラーゲン
- ビタミンC
- イソフラボン
また、栄養バランスのよい食事は、線維芽細胞の減少を抑える効果にも期待できます。若々しい肌を維持するためにも、なるべく栄養バランスのよい食事をとるよう心がけましょう。
線維芽細胞療法に痛みはありますか?
線維芽細胞療法では、細胞の採取や移植を行います。細胞の採取時は、麻酔により痛みはほとんどありません。
移植時に感じるのは、注射針によるチクッとした痛みです。
ただし、痛みの感じ方には個人差があります。移植による痛みも、麻酔クリームや麻酔テープなどを使うことで緩和が可能です。痛みに弱く不安な場合は、あらかじめクリニックでのカウンセリング時に相談しておきましょう。
線維芽細胞療法に年齢制限はありますか?
線維芽細胞療法は年齢による制限が設けられていません。何歳であっても治療が受けられます。ただし、シワやたるみなど加齢による症状がまだ出ていない20~30代の場合、「あまり効果が出ていない」と感じるかもしれません。
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肌の真皮層にある線維芽細胞は再生医療で増やせる
線維芽細胞とは、肌の真皮層にあり、コラーゲンやヒアルロン酸などを生成する働きを持っている成分です。
年齢を重ねて線維芽細胞が減っていくと、肌にシワやたるみなどの症状が出るようになります。食べものやサプリだけでは、減ってしまった線維芽細胞を増やすことはできません。
線維芽細胞は、クリニックで再生医療を受けることで増やせます。シワやたるみの改善に線維芽細胞療法をお考えのかたは、ぜひクリニックのカウンセリングを受けてみてくださいね。
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<慶應義塾大学病院認定の美容医療クリニック>
執筆者
JSKINクリニック医師 牧野潤

慶應義塾大学医学部卒業、形成外科学会認定専門医
現在はJSKINクリニック代表医師、および慶應義塾大学医学部 形成外科 助教(慶應病院美容外来担当医)を務める。
所属:日本形成外科学会、日本美容外科学会(JSAPS)、日本再生医療学会、日本レーザー医学会
発表:日本形成外科学会学術集会(シンポジスト、口頭演者)、日本美容外科学会(JSAPS)(口頭演者)、韓国形成外科学会(口頭演者)
メディア:ホンマでっか!?TV(フジテレビ)、婦人画報デジタル、雑誌ゲーテ/GOETHE、MXテレビ、その他webメディアでの監修多数