再生医療とは?メリット・デメリットなどをわかりやすく紹介
「再生医療」とはどのようなものなのでしょうか。詳しく知らないというかたも多いでしょう。
本記事では再生医療とはどのようなものか、わかりやすく紹介します。再生医療が応用されている分野やメリット・デメリットなども紹介しますので、ぜひご覧ください。
再生医療とは?

再生医療とは、病気・ケガ・加齢などによって失われた機能や組織の再生を目的とした医療技術のことです。
人間の体内に存在する幹細胞は、損傷すると細胞分裂を行い損なわれた機能を修復します。この修復機能を応用しているのが再生医療です。細胞や血液などを培養して移植し、組織や臓器などを修復して治療を行います。
2014年には、再生医療等の安全性の確保等に関する法律も施行されました。現在も、さまざまな分野で研究・応用が進められています。
再生医療が応用されている代表的な分野
再生医療は多くの分野で応用されています。代表的な分野として挙げられるのが、膝の治療、全身性疾患の治療です。
また、肌の悩みを根本から解決する方法として、美容医療でも注目されています。
膝の治療
膝の治療では、PRP療法と呼ばれる再生医療が活用されています。PRP療法とは、患者自身の血液を加工して組織の再生に関する成分を抽出し、患部に戻す治療法です。
次のような病気やケガは、PRP療法で痛みの緩和や組織の修復に期待できます。
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 腰痛
PRP療法は保険適用外で、自費診療です。
全身性疾患の治療
再生医療は、心臓病・糖尿病など全身性疾患の治療にも応用されています。
心不全の新しい治療方法として注目されているのが、再生医療です。これまで、重症化した心不全では、ペースメーカーを埋め込む手術や心臓移植などの方法が採用されていました。しかし、人工心臓には感染や脳梗塞などの問題があります。また、心臓移植を受けるためには、ドナーを見つけなくてはなりません。人工心臓や心臓移植の問題解決に役立っているのが、iPS細胞を使った再生治療です。
美容医療
再生医療は、美容医療の分野でも応用が進められています。
代表的な方法が、老化によるシワやたるみの改善を目的とした、「線維芽細胞移植」です。線維芽細胞移植では、耳の後ろなどからごく少量の皮膚を採取し、細胞を培養して移植します。
また、美容の分野では、毛髪の再生を目的とした治療も研究が行われています。将来的には、再生医療によって毛髪の再生が実現するかもしれません。
再生医療のメリット

再生医療には、以下の大きなメリットがあります。
- 根本的な治療に期待できる
- 副作用や拒絶反応が少ない
2つのメリットについて解説します。
根本的な治療に期待できる
再生医療には、根本的な治療に期待できるというメリットがあります。組織や臓器を再生できると、根本的な治療が可能です。
たとえば美容医療では、ヒアルロン酸を注射して肌の悩みを解消する方法があります。即効性に期待できるヒアルロン酸注射ですが、効果は一時的なものです。効果を持続させたいなら、繰り返し施術を受けなくてはなりません。しかし、再生医療で行われている線維芽細胞移植では、長期的かつ自然な効果に期待できます。
副作用や拒絶反応が少ない
自分自身の細胞を使って治療をする再生医療は、拒絶反応や副作用が少ないというメリットもあります。
拒絶反応とは、移植された臓器や組織を「異物」として認識し、免疫システムが排除しようとする仕組みのことです。自分自身の細胞を移植する方法なら、拒絶反応を起こすリスクが低くなります。
また、薬剤を使わないため、副作用のリスクを軽減することも可能です。
従来の移植や薬剤投与と比べると、安全性の高い治療方法だといえるでしょう。
再生医療のデメリット

以下のようなデメリットもあるため、再生医療を受ける際は十分な検討が必要です。
- 費用が高額になる
- 効果に個人差がある
- 治療できるクリニックが限られる
代表的な3つのデメリットについて解説します。
費用が高額になる
再生医療の特に大きなデメリットが、治療の種類によっては保険適用外で費用が高額になることです。
最先端の技術を用いる再生医療はコストが大きく、数十万~数百万円の費用がかかる場合もあります。保険適用外となる治療には、高額療養費制度が適用されず、全額自己負担です。治療を希望していても、高額な費用が原因で断念せざるを得ない場合もあるでしょう。
ただし、以下のように保険適用で受けられる再生医療もあります。
- 膝関節の外傷性軟骨欠損症
- 重症熱傷の皮膚再生
- 再発又は難治性の多発性骨髄腫
保険適用で受けられる再生医療には、高額療養費制度も適用されます。そのため、再生医療というだけで治療を諦める必要はありません。再生医療を希望するにあたって費用が不安なかたは、保険適用できる治療なのかクリニックで確認してみましょう。
効果に個人差がある
効果に個人差があることも、再生医療のデメリットのひとつです。人によっては、期待していたとおりの効果が出なかったり、長続きしなかったりする可能性もあります。
保険適用外の再生医療は治療費が高額です。「高い費用を払っても思うような結果にならなかった」と感じることがあるかもしれません。
後悔しないよう、再生医療を受ける際はカウンセリングでしっかりと説明を受けることが重要です。症例写真や実際の体験談なども参考として役立ちます。
治療を行っているクリニックが限られる
再生医療は、治療を行っているクリニックが限られることもデメリットのひとつです。
すべての病院で再生医療が受けられるわけではありません。再生医療等安全性確保法にもとづき、再生治療を提供できるのは、厚生労働省への届け出を受理されたクリニックに限られます。治療できるクリニックが限られているのは、再生医療がまだ新しい治療法で、安全性に注意する必要があるためです。
居住エリアによっては、近くで再生医療が受けられない可能性があります。
再生医療を受ける際の注意点

再生医療を検討する際は、以下の点に注意しましょう。
- 厚生労働省に届け出を行っているクリニックを選ぶ
- 治療内容とリスクについて十分な説明を受ける
- 費用や効果について納得してから治療を受ける
- 複数のクリニックで相談し比較検討する
- アフターケア体制が整っているか確認する
再生医療は機能を回復させる治療
再生医療は、病気・ケガ・加齢などで失われた組織や臓器などの機能を回復させる治療です。保険適用外となる治療が多いものの、身体への負担を抑えて機能を回復させられる可能性があります。
今後ますます再生医療は発展し、身近なものになっていくことでしょう。
美容医療の分野でも、すでに再生医療が応用されています。肌のハリや弾力を取り戻す方法として注目されているのが、線維芽細胞移植です。
興味をお持ちのかたは、ぜひクリニックのカウンセリングにてご相談ください。
JSKINクリニック東京銀座
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<慶應義塾大学病院認定の美容医療クリニック>
JSKINクリニック医師 牧野潤

慶應義塾大学医学部卒業、形成外科学会認定専門医
現在はJSKINクリニック代表医師、および慶應義塾大学医学部 形成外科 助教(慶應病院美容外来担当医)を務める。
所属:日本形成外科学会、日本再生医療学会、日本美容外科学会(JSAPS)、日本レーザー医学会
発表:日本形成外科学会学術集会(シンポジスト、口頭演者)、日本美容外科学会(JSAPS)(口頭演者)、韓国形成外科学会(口頭演者)
メディア: ホンマでっか!?TV(フジテレビ)、婦人画報、雑誌ゲーテ/GOETHE、MXテレビ、その他webメディアでの監修多数