ほくろを消すクリームには効果があるのでしょうか。ECサイトには、さまざまな「ほくろ除去クリーム」が販売されています。手軽な方法として、試してみようとお考えの方も多いでしょう。
本記事では、ほくろを消すクリームの仕組みやデメリットなどを紹介します。ほくろを消すおすすめの方法も紹介しますので、ぜひご覧ください。
市販のクリームでほくろを消すことは可能?
市販の「ほくろ除去クリーム」は効果が保証できずリスクもあるため、おすすめできません。
クリームでほくろが取れたという人が存在するものの、効果が出ず傷跡が残った人もいます。
除去に失敗するリスクを考えると、クリームの使用は避け、別な方法で除去する方がよいでしょう。
日本国内には、ほくろを除去する外用薬として承認されている医薬品は存在していません。
そもそも、自分ではほくろだと思っていても、実際にはシミだったり皮膚がんだったりする場合もあります。
適切な方法で除去するために、気になるほくろはクリニックで相談してみましょう。
ほくろ除去クリームの仕組み
ECサイトで販売されている「ほくろ除去クリーム」の多くは、カソーダや精油などがおもな成分です。
クリームを塗ると皮膚が溶け、やけどのような状態になってからかさぶたができます。やがて肌が再生してほくろが消えるといった仕組みです。
ほくろ除去クリームのデメリット
ほくろ除去クリームの使用を考えているのなら、デメリットをチェックしておく必要があります。
なぜなら、デメリットを知らずに使うと後悔するおそれがあるためです。
ほくろ除去クリームには、大きなデメリットが2つあります。
- 安全性や効果が確認されていない
- 深刻な健康被害のおそれがある
2つのデメリットについて、それぞれチェックしてみましょう。
安全性や効果が確認されていない
現在市販されているほくろ除去クリームは、日本国内で安全性や効果が確認されていません。日本国内では医薬品として認められているものはなく、多くは海外製の商品です。
海外製の製品には、表示されている成分が含まれていない商品や、粗悪な商品なども多く存在しています。たとえ口コミでの評判がよいとしても、本当だとは限りません。商品によっては傷跡が残ったり効果がなかったりする可能性もあるため、注意が必要です。
深刻な皮膚障害を引き起こすおそれがある
深刻な皮膚障害を引き起こすおそれがあることも、ほくろ除去クリームの大きなデメリットのひとつです。
クリームに含まれている成分によっては、重い皮膚障害につながるかもしれません。
厚生労働省や国民生活センターなどでも、未承認医薬品による健康被害について注意喚起を行っています。健康のために、ほくろ除去クリームは購入・使用を避けましょう。
ほくろ除去クリームによる実際の被害例
参考として、ほくろ除去クリームによって起きた実際の被害例を紹介します。
2023年に大きな問題となったのが、海外製のほくろ・いぼとりクリーム「点痣膏」です。調査の結果、点痣膏は強いアルカリ性であると判明しました。点痣膏の使用では、次のような被害が報告されています。
- 痛み
- 皮膚潰瘍
- 変色
- 皮膚の壊死
SNS広告を見ていると、「効果がありそう」「ほくろが消えるなら1度試してみたい」と思える商品があるかもしれません。画像や動画が本当のように見える場合もあるでしょう。
しかし、効果がないどころか、重い皮膚障害を引き起こす商品も存在しています。くれぐれも注意してください。
参考:インターネット等で購入した未承認医薬品等・健康食品(医薬品成分含む)の健康被害情報|厚生労働省
クリニックでのほくろの除去方法
ほくろで悩んでいるのなら、皮膚科や美容皮膚科で除去してもらいましょう。
悪性のほくろは刺激によって悪化する可能性もあるため、セルフでの除去はハイリスクです。しかし、良性・悪性のどちらなのかは、専門医でなければ区別できません。まずは医療機関を受診して医師の診察を受け、適切な方法で除去してもらうのがおすすめです。
クリニックによって、対応しているほくろの除去方法は違います。ほくろの除去方法にはどのようなものがあるかを紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。
炭酸ガスレーザー治療
盛り上がっているほくろやいぼの除去で多く使われているのが、炭酸ガスレーザー治療です。炭酸ガスレーザー治療では、蒸散作用を使ってほくろやいぼなどの組織を取り除きます。
熱凝固作用により、施術後の出血はほとんどありません。治療時は局所麻酔を使って痛みを抑えられます。治療後は赤みが残るものの、半年~1年程度かけて緩和されていきます。
ただし、赤みが消えるまでの期間には個人差があります。また、ほくろの根が深いと再発するかもしれません。そのため、再発時の保証制度を設けているクリニックもあります。
炭酸ガスレーザー治療は保険適用外です。施術を受けるクリニックや、ほくろの数によって費用は違ってきます。炭酸ガスレーザー治療を希望する場合は、施術を行っているクリニックでカウンセリングを受けてみましょう。
ラジオ波メス
高出力のラジオ波を使ってほくろを削り取るのが、ラジオ波メスによる施術です。ラジオ波メスは、顔のほくろの除去に使われています。
局所麻酔を使うため、施術による痛みはありません。ラジオ波メスによる傷跡は、1~2週間でふさがるでしょう。赤みの程度や期間については、炭酸ガスレーザーよりも長くなる場合があります。ラジオ波メスによる施術は保険適用外です。炭酸ガスレーザー治療と同じように、ラジオ波メスもクリニックやほくろの数などで費用は変わってきます。
液体窒素による凍結療法
いぼの除去では、液体窒素による凍結療法もポピュラーな方法です。凍結療法では、マイナス196度の液体窒素を綿棒に含ませ、いぼに押しあてて凍結させます。ただしほくろの治療では再発率が高く、原則推奨されません。
液体窒素による凍結療法は保険適用が可能です。
また色素沈着を起こす場合が多いため、クリニックによっては顔への施術を行っていません。見た目が気になって顔のほくろを除去する場合、炭酸ガスレーザー治療やラジオ波メスの施術が向いているでしょう。
くり抜き法
メスやパンチなどの道具を使ってほくろを除去するのが、くり抜き法です。くり抜き法は、根が深いほくろの除去に向いています。小さなほくろなら縫合が不要となる場合もあるため、身体への負担を抑えられるでしょう。くり抜き法も、保険診療が可能です。
ただし、くり抜き法は深いきずあととなりやすく、結果的にきずあとの凹みや色ぬけが強くなることがあります。医院によっては、くり抜き法自体を推奨していないこともあるため、慎重にクリニックを選びましょう。
メスによる切開
大きなほくろの除去に適しているのが、メスによる切開です。切開でも麻酔を行うため、切開時は痛みを感じないでしょう。
切開はほくろを完全に取り除けるため、再発する可能性が低くなります。また、除去したほくろが良性か悪性かを調べることも可能です。ハサミやメスによる切開も、健康保険が適用されます。
ただし、切開後は縫合が必要です。傷跡が目立たなくなるまでには時間がかかり、きずあともやや長くなります。
ほくろはクリニックでの除去がおすすめ
SNSで気になる広告を見かけて、ほくろ除去クリームの購入を検討しているかたも多いでしょう。しかし、海外製のほくろ除去クリームはリスクが高いため、おすすめできません。
ほくろ除去クリームは効果がないだけでなく、深刻な皮膚障害を引き起こすおそれもあります。悪性のほくろだった場合、刺激によって悪化してしまうかもしれません。
そこで、ほくろは皮膚科や美容皮膚科で除去してもらう方法がおすすめです。炭酸ガスレーザー治療なら、短時間で複数のほくろを除去できます。
ほくろの状態によって合っている方法は違いますので、まずはクリニックで相談してみてくださいね。
記事監修者
JSKINクリニック医師 牧野潤
慶應義塾大学医学部卒業。形成外科医。シンガポール国立大学病院留学。医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域で従事。
慶應義塾大学病院、埼玉医科大学総合医療センター等勤務を経て、現在は慶應義塾大学医学部 特任助教。
大学病院での臨床・研究と並行し、レーザー・注入施術などの美容医療に特化した「JSKINクリニック」を2021年より経営・監修。