ほくろは自分で除去できるのでしょうか。皮膚科や美容皮膚科などに行かなくても除去できるなら、手軽で便利ですよね。ほくろ除去を目的とした市販のアイテムを見つけ、試したいとお考えのかたも多いでしょう。
しかし、残念ながら自分でのほくろ除去はおすすめできません。
本記事では、自分でほくろを除去するリスクや、美容皮膚科での除去方法などを紹介します。ほくろ除去の参考として、ぜひ内容をご確認ください。
ほくろは除去するべき?
そもそも、ほくろを除去すべきかで悩んでいるかたも多いのではないでしょうか。
特に気になっていないのなら、そのまま様子を見ても構いません。除去を検討したいのは次のようなほくろです。
- 顔・首・腕など目立って気になる部分にある
- 盛り上がっていて日常生活に支障がある
- 悪性の疑いがある
目立って気になる・コンプレックスになっている、という状態ならば、除去を検討しても良いでしょう。
盛り上がっているほくろで、日常生活に支障が出ている場合は、保険適用で治療できる可能性があります。また、悪性の疑いがあるほくろは、なるべく早い段階での除去が必要です。
悪性かどうか自分で判断するのは難しいため、気になるほくろがあるなら医療機関で相談してみましょう。
ほくろ除去は自分でできる?
ほくろは皮膚科や美容皮膚科など、医療機関を受診して除去してもらいましょう。
クリームやレーザーペンなど、ほくろの除去を目的とした市販のアイテムも販売されています。しかし、市販品ではほくろを完全に除去することができません。肌トラブルにつながるおそれもあるため、セルフでのほくろ除去はNGです。
自分でほくろを取ることで考えられるリスクを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
傷跡が残る
自分でのほくろ除去で多いのが、針やカッターナイフで削り取る方法です。
針やカッターナイフを使うと、傷跡が残ってしまうかもしれません。傷跡から細菌に感染してしまうと、皮膚壊死を引き起こすおそれがあります。
やけどの跡が残る
クリームやもぐさなど、熱を使う方法ではやけどの跡が残る可能性があります。
どちらも熱を利用して、肌をやけどのような状態にする方法です。肌トラブルになるだけでなく、ほくろが取り切れない可能性も高いでしょう。
再発する
自分でのほくろ除去は、再発のリスクが高いため注意が必要です。市販品を使っても、ほくろの根までは除去できません。
ほくろの除去を考えているのなら、クリニックで相談してください。
悪化する
自分でのほくろ除去は、悪化のリスクにも注意しなくてはなりません。
ほくろではなく皮膚がんだった場合、刺激によって悪化する可能性が高いでしょう。皮膚がんは悪化すると増えて転移する可能性もあります。
自分では見分けにくいため、医療機関で除去してもらいましょう。
クリニックでのほくろの除去方法
ほくろは、専門的な知識と技術を持ったクリニックで除去してもらうのがおすすめです。
クリニックでは、次のような方法でほくろの除去を行っています。
- 切開法
- 電気メスによるくり抜き法
- 炭酸ガスレーザー治療
- 電気メス
4つの方法について概要を見ていきましょう。
切開法
「切開法」は、気になるほくろの周囲をメスで切り取って周囲の皮膚を縫合する方法です。
切開法は傷跡が消えるまでに時間がかかります。しかし深いほくろも除去できて、再発も防げる方法です。さらに、除去したほくろが良性であるかも調べられます。
どちらかといえば、大きいほくろの除去に適した方法です。
電気メスによるくり抜き法
電気メスでほくろを円形にくり抜くのが「くり抜き法」です。くり抜き法も、根が深いほくろの除去などで採用されていることがあります。
ただし後述する炭酸ガスレーザー治療と比較すると、きずあとが大きく・深くなりやすい傾向があり、結果としてより目立ちやすい傷跡として残るリスクもあがります。
大きさによっては縫合する必要がなかったり、短時間で治療ができることがメリットとして挙げられます。
炭酸ガスレーザー治療
現在、ほくろの除去でもっとも広く行われているのが、炭酸ガスを使ってレーザーでほくろを蒸発させる「炭酸ガスレーザー治療」です。麻酔を使うため、炭酸ガスレーザー治療では痛みがほとんどありません。切開ではないため、ダウンタイムは比較的短く、傷跡は最小限で治療が可能です。
ただし、ほかの治療と同様に根が深いほくろは再発・残存のリスクがあります。
ほくろとは?
ほくろとは、皮膚の表面にできる色の濃いできものの通称です。種類によって、特徴には違いがあります。
大抵のほくろは良性で、特に治療する必要はありません。ただし、ほくろに似た皮膚がんもあるため、注意が必要です。また、ほくろが皮膚がんに変化する場合もあります。
注意したいほくろの特徴は次のようなものです。
- 左右が非対称である
- 輪郭がぼやけている
- 色が変化している
- 急激に大きくなっている
「ほくろのがん」として知られているのが悪性黒色腫で、メラノーマとも呼ばれます。悪性のほくろが疑われる場合は、なるべく早めに皮膚科で相談しましょう。
ほくろの種類
大きさや色で分類した場合、ほくろには次のような種類があります。
- 単純黒子 1~数ミリで薄い茶色
- 青色母斑 青みの強いほくろ
- 色素性母斑
1~2ミリで薄い茶色のほくろが「単純黒子」です。青みが強いほくろは「青色母斑」と呼ばれます。青色母斑の多くは良性ですが、1センチを超えると悪性化するおそれがあるため、注意が必要です。
「色素性母斑」は、表面に毛が生えたりでこぼこしたりしていたりします。
ほくろの原因
ほくろができる代表的な原因は次の4つです。
- 生まれつき
- 紫外線
- 摩擦
- ターンオーバーの乱れ
4つの原因についてもそれぞれ解説します。
生まれつき
ほくろには生まれつき(先天性)のものがあります。
生まれつきのほくろは大きめになることがありますが、悪性化するリスクは非常に低いといえます。ただし、数十センチ以上もの大きさになる「先天性巨大色素性母斑」と呼ばれる稀な疾患もあります。その場合は悪性に移行するリスクがあるため治療介入が必要です。
紫外線
強い紫外線は、ほくろができやすくなる原因のひとつと考えられています。
ほくろのもとになっているメラノサイトは、紫外線を浴びると肌を守るために活性化します。その結果として、ほくろができてしまうのです。
普段の生活では紫外線対策を徹底することが有用と考えられます。
摩擦
意外と知られていませんが、摩擦もほくろができる要因になりうると考えられます。
紫外線対策をしているのにほくろができやすいのなら、摩擦が原因かもしれません。紫外線と同じように、摩擦による刺激でもメラノサイトが活性化します。
毎日の洗顔やスキンケアでは、肌をこすらないよう気をつけましょう。
ターンオーバーの乱れ
ターンオーバーの乱れも、ほくろができてしまう大きな原因です。
肌はターンオーバーによって約4週間かけて生まれ変わります。ターンオーバーが乱れるとメラニン色素が正常に排出されなくなり、ほくろができるといった仕組みです。
ターンオーバーの乱れを引き起こす原因には、次のようなものがあります。
- 生活習慣の乱れ
- 紫外線
- 乾燥
- 加齢
ほくろができやすいと感じているのなら、偏った食生活や睡眠不足など、生活習慣の乱れを改善しましょう。また、紫外線や乾燥への対策も大切です。
ほくろを自分で除去するのはNG!
さまざまなリスクがありますので、ほくろを自分で除去するのはやめましょう。
ほくろが取り切れないだけでなく、再発や肌トラブルを引き起こしてしまうおそれがあります。
除去を検討しているのなら、クリニックでの相談がおすすめの方法です。クリニックでは、ほくろの状態を確認したうえで適切な治療方法を提案してくれます。
ほくろを除去すべきか悩んでいるのでしたら、ぜひクリニックで相談してみてくださいね。
記事監修者
JSKINクリニック医師 牧野潤
慶應義塾大学医学部卒業。形成外科医。シンガポール国立大学病院留学。医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域で従事。
慶應義塾大学病院、埼玉医科大学総合医療センター等勤務を経て、現在は慶應義塾大学医学部 特任助教。
大学病院での臨床・研究と並行し、レーザー・注入施術などの美容医療に特化した「JSKINクリニック」を2021年より経営・監修。