眉を上げないと視野が塞がる状態を、眉下切開(皮膚切除9mm・保険適用)で改善した症例
60代女性/眉下切開(上まぶたの皮膚切除 左右とも9mm・保険適用)


| 施術 | 眉下切開(上まぶたの皮膚切除 左右とも9mm・両側/厚み取りは併施なし) |
|---|---|
| 麻酔 | 局所麻酔(日帰り手術) |
| 費用 | 保険診療(自己負担額は「06 費用とリスク」に記載) |
| ダウンタイム | 腫れ・内出血 1〜2週間程度/傷の赤みは数ヶ月かけて落ち着きます |
| 通院 | 抜糸(術後1週間)、経過診察(術後1ヶ月・3ヶ月) |
01ご相談内容
ご相談はまぶたのたるみでした。具体的には次のような状態です。
- 目が小さく見える
- それに伴って眉毛が上がってしまう
- おでこにシワが寄る
- 目が開けにくい感覚がある
見た目の悩みと、開けにくさという感覚の両方がありました。
02診断・見立て
診察の結果、眼瞼下垂の症状はありませんでした。まぶたを持ち上げる力そのものは保たれています。
一方で上まぶたの皮膚のかぶさりが強く、眉毛を引き上げて何とか目を開けている状態でした。眉を上げることで、かぶさった皮膚を持ち上げて視野を確保していたわけです。ご相談の「目が小さく見える」「眉毛が上がる」「おでこにシワが寄る」は、この一つの状態から出ています。
眉を押さえて診ると、状態がはっきりします
眉毛が上がらないように指で押さえたまま目を開けていただきました。すると視野がほとんど隠れてしまう状態でした。
つまり、普段見えている視野は眉を上げることで成り立っていたということです。無意識に補っているため本人は気づきにくいのですが、補いをやめれば見えなくなる——それだけ生活への支障が出ている状態でした。
この診察は、眉下切開を考えるときに必ず行います。見た目のたるみの量だけでは、どれだけ困っているかは分かりません。眉の助けを外したときに何が見えるかで、実際の状態が分かります。
03施術内容
- 術式 眉下切開(上まぶたの皮膚切除 左右とも9mm・両側/厚み取りは併施なし)
- 麻酔 局所麻酔(日帰り手術)
切除幅は左右とも9mmとしました。眉で持ち上げてようやく視野が保てている状態だったため、眉を下ろしても視野が確保できるところまで外す必要がありました。
切開線は眉毛の下に置きますが、眉毛の下縁がほんの少し眉毛の中に入り込む位置に設定します。ここが眉下切開でいちばん大事なところです。眉毛から離して下に引いてしまうと、傷と眉毛の間に隙間が空き、そのぶん傷が目立ちやすくなります。わずかに毛の生えている範囲へ食い込ませることで、生えてくる毛が傷に重なって隠れます。
厚み取り(眼輪筋・ROOF の切除)は行っていません。まぶたの中の組織は温存し、かぶさっている皮膚だけを切除しています。

術前の目を閉じた状態です。上まぶたに皮膚が余り、眉の下でたるんでいるのが分かります。眉下切開で取るのは、この余った分です。
04経過・ダウンタイム
各時点で、開けたところ(左)と閉じたところ(右)を並べています。傷そのものは、目を閉じた写真で見えます。


皮膚のかぶさりで目が細く見え、眉が上がった位置にあります。閉じた写真では、上まぶたに皮膚が余っているのが分かります。


ダウンタイムがいちばん出ている時期です。まぶた全体に内出血が黄色く抜けかけた状態で広がっています。内出血は紫から黄色へ変わりながら吸収されていくので、この黄色は治っていく途中の色です。抜糸はこの日に行いました。目の開きはこの時点ですでに変わっています。


内出血は消えました。眉の位置が下がり、目もとの印象が落ち着いています。傷の赤みは1ヶ月ごろがピークで、閉じた写真では眉毛の下に線が見えます。


傷の赤みはかなり軽減しました。この時期は、サウナなど代謝が上がる場面で一時的に傷が赤く出ることがあります。診察では「あと3ヶ月ほどでさらに改善する」とお伝えしました。眉下切開の傷は、おおむね3ヶ月から半年ほどかけてかなり目立ちにくくなります。ここが終点ではありません。傷はこの先も時間をかけて周りの皮膚に馴染み、さらに目立たなくなっていきます。
05結果・ポイント
この症例の要点は、眉を押さえて診察したことです。眉毛が上がらないように指で押さえて目を開けていただくと、視野がほとんど隠れてしまいました。普段の見え方は、眉を上げて補うことで成り立っていたということです。
まぶたのたるみは、見た目の量だけでは困り具合が分かりません。本人は無意識に眉で補っているので、「見えている」と感じています。補いを外して初めて、どれだけ視野が塞がれているかが分かります。
保険が使えるかどうかは、ここで決まります
眉下切開は多くの場合、自費診療です。ただし、まぶたのかぶさりによって視野が妨げられ、生活に支障が出ていると診察で判断される場合は保険適用となります。この方はそれにあたり、保険診療で手術を行いました。
判断するのは、たるみの見た目ではなく機能です。同じくらいたるんで見えても、視野が保てていれば自費、塞がれていれば保険という分かれ方をします。診察を受けていただかないと判断できないのは、このためです。
もうひとつ、術前と術後で眉の位置が変わっていることも見ていただきたい点です。かぶさりがある間は眉を上げて支えていました。皮膚を外すとその必要がなくなり、眉は自然な高さに戻ります。おでこにシワが寄るという悩みも、ここから来ています。
06費用とリスク
費用
保険適用の手術です。自己負担額は保険の負担割合により異なります(3割負担の場合、5万円程度が目安)。別途、初診料・再診料・処方薬代がかかります。
※まぶたのかぶさりによって視野が妨げられているなど、機能的な障害が認められる場合に保険適用となります。見た目の改善のみを目的とする場合は自費診療(265,000円)となります。保険が適用されるかどうかは診察で判断します。
主なリスク・副作用
内出血・腫れ(1〜2週間程度)、傷の赤み(数ヶ月かけて目立たなくなります)、左右差、眉の位置や形の変化、傷あとの盛り上がり、まぶたの閉じにくさ、傷の周りの知覚の鈍さ(数ヶ月で戻ります)、感染など。日本形成外科学会認定 形成外科専門医/日本美容外科学会(JSAPS) 正会員

